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北陸工業新聞社
2023/08/03

【石川】創業100周年祖父を偲び決意/タケノ社長竹野一茂氏/8月3日は建築板金の日

 「いつも本当に優しく、寡黙な昔ながらの職人でした。早寝早起きで生活は規則正しく、105歳で亡くなりましたが、100歳近くまで会社に来て板金仕事に勤しんでいました」―。1923(大正12)年に創業し、今年100周年を迎えた建築板金業のタケノ(野々市市)。竹野一茂社長は、創業者である祖父・佐一氏を偲びながら、大きな節目に感慨を覚える。
 佐一氏は1907(明治40)年生まれ。金沢で修行後、地元の加賀市片山津で独立開業した。大阪にも出向きながら、終戦を迎え、石川県に戻り、多くの板金仕事を手掛けていった。「生家が大工だったこともあり、手先が器用で自前でストーブを作ったりすると、近所の人たちからも欲しいと求められたようだ」とエピソードは尽きない。
 2024年問題への対応や資材価格の高騰など、建設業を取り巻く環境は厳しさを増すが、県内の建築板金業界は現在、金沢城公園の三十間長屋屋根改修工事に精力的に取り組んでおり、いよいよ二の丸御殿復元事業が来年度に迫るなど、腕を奮う機会に期待が高まる。
 100周年を迎えた今、「当社は実妹に続き、県外で金融業に携わっていた実娘が家業を引き継ぐ覚悟で、今春から建設共同高等職業訓練校に通い出した。祖父や父・茂の時代とは大きく環境は違ってきているが、人間の手が必要で個々の技術力が重視される建築板金の仕事をしっかり受け継いでいきたい」と意気込む。

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