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建通新聞社(神奈川)
2023/08/21

【神奈川】県 県民ホール 老朽化で在り方を検討

 神奈川県国際文化観光局は、神奈川県立県民ホールの大規模改修や建て替えなどを含めた検討を進めている。本年度は、建て替えや大規模改修などパターンごとの建設費用や休館期間、利用者の利便性について予備調査を行い、今後の方針を決める。横浜市が進めている山下ふ頭の再開発とも足並みをそろえたい考えだ。予備調査の委託先を選定するプロポーザルの手続きを進めており、9月中旬にも事業者を決定する。
 ホールの開館から48年が経過し、開館当時から使用している空調・配管設備が老朽化。修理時に使用可能な部品を取り置き、適宜交換するなどして対応していた。終売した部品の調達が困難で、空調が故障した際に迅速な修理ができないことから、利用者に迷惑をかけかねないと判断。県は2025年度からの県民ホール休館を決めた。
 18年度に実施したコンクリートの劣化状況調査では、25年ごろには中性化が進行し、コンクリート内部の鉄筋に達するという結果が出ており、建物の耐久性が低下する可能性も指摘されていた。
 県は22年10月下旬から、デベロッパーなどの民間事業者に対してサウンディング調査を行った。民間活力の導入も視野に入れているが、その場合都市計画上の高さ制限(31b)がネックになる可能性がある。
 22年11〜12月には県民や利用者へのアンケート調査を実施。主催者・出演者に向けた「県民が文化芸術を鑑賞したり、文化芸術活動に取り組んだりするためには、どのような施設が必要だと思うか」(複数回答可・回答数70人)との質問には、「2000人程度収容のホール」との回答が75・7%と多数を占めた。オペラやバレエなどが上映できる2000人規模のホールは県内でも数が限られているため、県民ホールの大ホール(最大収容2493人)の需要は今後も続くとみられる。
 リニューアルの方向性にかかわらず、県民ホールの課題として挙げられているバリアフリー化への対応は実施する方針だ。ただ、大規模改修の場合、エスカレーターを設置する余地が少ないなど、建物の構造上バリアフリー化が制限されるといった問題がある。
 県立県民ホールは1974年に完成、75年1月から開館した。規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て延べ2万8476平方b。所在地は横浜市中区山下町3ノ1の敷地1万946平方b。

提供:建通新聞社