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建通新聞社(静岡)
2023/08/23

【静岡】県・下田市道 10月から包括管理

 静岡県と下田市は、下田市内の県道と市道の包括管理を10月から試行することを決めた。県・市がそれぞれ担っている下田市内の道路管理(小規模修繕、舗装補修、道路照明)の包括管理委託は、発注者・受注者ともに人手不足を抱えるインフラ管理を先導する新たな試み。管理者が異なる道路の包括管理委託は「おそらく全国でも初めてのケース」(建設政策課未来まちづくり室)になるという。
 県は、包括管理業務(県管理道分)の一般競争入札をすでに公告しており、9月中旬に落札者を決める。下田市は9月上旬に県と覚書を結び、県管理道の落札者に市道分の管理も随意契約で委託する。
 この入札には、県が7月に導入した「地域維持型JV」を初めて適用。工種の異なる地元企業がJVを組んで参加できるようにした。さらに、通常の維持管理に採用する単価契約ではなく、要求水準に基づく性能発注を採用し、過去3年の実績額の平均から算出した予定価格を踏まえて総価契約を結ぶ。
 契約期間は2024年9月末までの1年間。県と市はこの試行を通じて道路管理者と受託者の役割分担を整理。試行の成果を踏まえ、下田市周辺への管理地域の拡大、業務範囲の拡大(巡回・点検、街路樹管理、土砂排除など)も検討する。管理水準の達成状況に応じた成果連動方式の導入なども考えている。

「インフラを群≠ナ管理」

 市町村の技術職員数の減少、維持管理を担う建設業の担い手不足によって、インフラの維持管理水準の低下が懸念されている。道路インフラでは14年7月に点検・診断の実施が義務付けられたが、点検・診断結果を踏まえた修繕は、国・都道府県と比べ、市町村の遅れが目立つ。
 国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会の技術部会は昨年12月、複数・広域・他分野のインフラを群≠ニして捉える「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を提言。包括管理は、分野・地域を越えてインフラを管理し、脆弱な市町村の体制を補う手法として提言にも盛り込まれている。
 県は今回の試行について「県道、市道で管理者が異なることは道路の利用者には関係のないこと。県・市の一体管理によって利用者へのサービス水準を向上させたい」(未来まちづくり室)と話す。県は今秋にも改訂する「社会インフラ長寿命化行動方針」にも、下田市をモデルケースとして包括管理の対象を拡大する方向性を示す見通しだ。