トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2023/09/13

【福井】北陸環境サービス/3号炉が完成間近/発電設備を搭載、環境に配慮/見学コース設け「見せる施設」に

 産業廃棄物処理業の北陸環境サービス(福井市白滝町、木下高廣代表取締役)が計画する廃棄物焼却施設3号炉が、このほど完成を迎えようとしている。
 建設規模は、S造3階建て延べ2289・51平方メートル。場所は、同社が運営するHKS(北陸環境サービス)プラント内で、福井市白滝町67号2番地。3号炉の各施設の設計・施工について、建屋は清水建設(東京都中央区)、プラントはアクトリー(石川県白山市)、水処理はクリタス(東京都豊島区)が担当した。
 HKSプラントでは、産業廃棄物、一般廃棄物、特別管理産業廃棄物を受け入れている。新設した3号炉の処理能力は、一日あたり約200トン。2号炉の92・4トンを加えると、約300トンが処理可能となる。
 新施設開発のいきさつについて、木下祐貴専務取締役が話す。
 「近年多発する自然災害の激甚化によって、災害廃棄物が増加し、その受け皿となる新たな焼却施設の設置が必要となっていた。コロナ禍中は、医療廃棄物の処理も切実な問題だった」。
 こうした状況の中、民間企業や建設業、製造業、さらには同業者からも要望が寄せられたことから、新施設の開設に乗り出したのだという。
 3号炉の最大の特徴は、発電機能を備えている点にある。廃棄物の焼却熱を利用して発電するシステムを導入。1時間あたり3450キロワットを生産する。一般家庭の消費電力分に換算すると、約6000世帯分の電力を生み出すことになる。
 施設内の各設備に必要な電力を供給するだけでなく、売電にも転嫁できる発電力を有する。これによって、同社は施設内廃棄物高効率熱回収という、新たな事業を展開していく。
 「処理場施設を運営する上で、環境保全は最重要事項であり、時代の流れといえる。3号炉では焼却時に発生する熱を活用し、CO2排出量を削減し環境に配慮した。循環型社会の実現にも貢献したい」(木下専務)。
 1994年に、福井市白滝町で第1炉を稼働して以来、実直に運営を続けていくことで、地域住民の信頼関係を築き上げてきた。どんなことも隠さず、説明をきちんと行い、真摯に対応することが大切と考える企業姿勢を示したいと、新施設の見学も随時受け付ける。
 3号炉は、10月に火入れ式を行った後、12月15日より稼働する予定。同社の新たな事業が、堂々たるスタートを踏み出そうとしている。

hokuriku