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建通新聞社
2023/09/15

【大阪】大阪市 なにわ筋線で事業費増加の可能性 

 大阪市は9月6日、大阪市大規模事業リスク管理会議を市内で開き、4事業のリスク管理の取り組み状況を整理した。このうち、なにわ筋線整備事業では、物価・人件費高騰などに伴って事業費が増加する可能性もあるとした。
 2022年の工事費単価が想定の年間上昇率2%を上回っていることから、工事費増加リスクが顕在化している。物価・人件費高騰を理由とした事業費増加のリスクにおいては、総事業費の10%以上の増額が50%以上の確率で発生すると想定している。増加想定額は公表されていない。
 今後は、適切な工法の検討・精査と総事業費のコスト削減を整備主体の関西高速鉄道に求める予定だ。
 なにわ筋線整備事業では、大阪駅(うめきたエリア)とJR難波駅、南海新今宮駅をつなぐ鉄道路線を整備する。総事業費は約3300億円で、大阪市の負担は550億円。22年度末の事業進捗率は事業費ベースで8%(工事進捗率5%、用地など進捗率16%)。31年春の開業を目指している。

〜IR拡張に伴う土地造成に275億〜
 また、夢洲土地造成事業では、大阪IRで拡張整備する区域の土地課題対策費用として約275億円を収支シミュレーションに盛り込むことを決めた。4月に国の認可を受けた区域整備計画に位置付けられておらず、計画内容は未定だが、事業者との契約締結を進めるため、早期にリスク管理を図る。拡張整備施設は45年度に着工し、48年度の開業を目指す。
 市が作成した夢洲土地造成事業の将来収支見込みによると、大阪港湾局の累計資金残高がプラスに転じるのは78年度以降となる。
 この他、阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事業と淀川左岸線(2期)事業についてもリスクを評価。直近5年の物価上昇率(年間約7%)が事業完了時まで続いた場合、連続立体交差事業では229億円、淀川左岸線(2期)事業では170億円の事業費増額が見込まれる。
 市では、淀川左岸線(2期)工事などで土壌汚染や地盤変状などを理由に事業費が大幅に増加したことを受け、事業リスク評価の精度向上に向け、3月に大阪市リスク管理ガイドラインを策定。同会議で初めて、リスク項目と項目ごとの事業費増加率・発生確率を示す管理表を作成した。