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建設経済新聞社
2023/10/05

【京都】向島中学校跡地の複合施設開発 地域交流施設は先行整備 門川市長が9月市会の代表質問で答弁

 京都市伏見区の元向島中学校跡地の活用として、民間事業者が計画する総合病院と特別養護老人ホームの複合施設、戸建て分譲住宅、調剤薬局、地域交流施設などのうち、地域交流施設が先行整備される見通しであることが3日わかった。
 京都市の11月市会の代表質問で向島ニュータウンの活性化について、門川大作市長が答弁。門川市長は「平成31年4月の向島秀蓮小中学校の開校を契機に、まちの姿が目に見えて変わってきている。令和元年度以降、ニュータウンを南北につなぐ国道24号沿いに新たな商業施設が次々とオープンしている。令和3年には市営住宅を活用したグループホームやこども食堂が京都市では初めて向島で実現し、地域住民や大学生と連携した多文化共生のまちづくりが進んでいる。さらに今年度からは市営住宅を民間事業者が自らの資金でリノベーションして、若者・子育て世帯に取得制限を設けずに貸し出す全国初の取組が始まり、先日、向島でその第1号が完成した。既に新たな入居者が決まり、今後順次拡大していく」と述べた後、「まちづくりの核として活用が期待される元向島中学校跡地では、敷地単位で用途を限定していたニュータウンの都市計画を見直し、活用事業者を公募した結果、地域の医療・福祉の充実、雇用創出にもつながる病院の誘致と新たな住民を受け入れる分譲住宅の建設、地域住民の活動拠点となる地域交流施設などの整備が決まっている。このうち地域交流施設は既に事業者と住民との協議が進み、先行して整備される予定」と見通しを示した。

向島ニュータウンの活性化手法
洛西ニュータウンの再生にも

 また、向島ニュータウンでのこうした取組について「地域資源である市営住宅の空き家の活用、戦略的な都市計画の見直しと連動した新たな住宅の供給や地域のさらなる活性化に資する施設等の誘致は、洛西地域でいま取組を進めている洛西“SAIKO”プロジェクトを先導するもの。今後とも地域住民、大学、民間事業者とともに、ハード・ソフト両面から向島地域のさらなる活性化に向けた取組を進めるとともに、その手法や成果を洛西地域をはじめ、全市の取組に生かし、活力あふれる京都の創造に結びつけていく」と考えを述べた。
      ◇      
 元向島中学校跡地を巡っては、市が公募型プロポーザル方式で活用事業者を選定し、社会福祉法人浩照会(京都市伏見区)を代表事業者、潟gレジャーホーム(京都市山科区)を構成員(協力事業者は轄イ藤総合計画(東京都墨田区))とする事業体に決定。
 令和5年2月市会に不動産処分案を提案し、可決した。
 対象は伏見区向島二ノ丸町151−55の土地で面積は1万6024・19u。売却金額は7億0500万円。
 浩照会は、介護老人保健施設あじさいガーデン伏見と特別養護老人ホームあじさい苑と、伏見桃山総合病院を運営する。
 浩照会らの跡地活用の提案によると、コンセプトは「向島ニュータウンまちづくりビジョンの実現に貢献する、医療・福祉・住環境・にぎわいあるまちづくりの共同提案」。総合病院と特別養護老人ホームの複合施設のほか、子育て世帯向けの戸建て分譲住宅、調剤薬局、地域交流施設、まちかど広場等を整備する計画。
 また市は、元向島中学校跡地を含む向島ニュータウン地区について、地区計画を策定した。
 近鉄京都線向島駅の東側に位置する京都市伏見区向島渡シ場町、向島清水町、向島鷹場町、向島藤ノ木町、向島丸町、向島二ノ丸町及び向島四ツ谷池の各一部の面積約74・1fにおいて、地区計画を策定することにより、ゆとりある緑豊かな居住環境の魅力を継承しつつ、職と住が近接した、身近な地域で暮らしと営みを支える多様な機能の誘導を図り、持続可能なまちの実現を目指す。
 向島ニュータウン地区を駅前商業地区(約4・8f)、センター商業地区(約7・8f)、高層住宅地区(約59・9f)、低層住宅地区(約5・2f)の4地区に区分し、それぞれの地区の特性に配慮した土地利用を誘導。このうち、元向島中学校跡地のある高層住宅地区については、土地利用に関する方針として「ゆとりある空間配置の下で形成された高層住宅の市街地環境を維持・継承しながら、生活利便の向上や働く場の創出につながる新たな土地利用の誘導を図る」を設定した。

統合後の学校跡地など
用途地域を商業系に変更
洛西ニュータウン


 市は、西京区の洛西ニュータウンにおいて、統合後の学校跡地などで用途地域を住居系から商業系に変更することにより、生活利便施設や働く場など多様な機能の誘導を図ることで、若者や子育て世代の移住・定住を促進。ニュータウンの再生を図る。
 用途地域を住居系から商業系へ変更する主なものをみると、洛西新林会館、西新林公園などが立地する敷地について、第二種中高層住居専用地域から近隣商業地域に変更。建ぺい率は60%から80%に変更する(容積率は200%で変更なし)。高度地区は15m第1種高度地区から15m第3種高度地区に変更する。
 また洛西ニュータウンでは、市教育委員会が行う小中学校の統合により、令和7年春に竹の里小学校、西陵中学校が閉校予定。
 学校統合跡地の用途地域の見直しを行い、まちの活性化につながる柔軟な利活用を可能にする。
 竹の里小学校敷地は、第一種中高層住居専用地域から近隣商業地域に変更。建ぺい率は60%から80%に変更する(容積率は200%で変更なし)。高度地区は15m第1種高度地区から15m第3種高度地区に変更する。
 西陵中学校敷地は、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域から近隣商業地域に変更。建ぺい率は60%から80%に変更する(容積率は200%で変更なし)。高度地区は15m第1種高度地区から15m第3種高度地区に変更する。
 このほか、京都市洛西老人福祉センター、洛西境谷会館、境谷商店街や大手コンビニなどが立地するL字型の敷地は、第二種中高層住居専用地域から近隣商業地域に変更。建ぺい率は60%から80%に変更する(容積率は200%で変更なし)。高度地区は15m第1種高度地区から15m第3種高度地区に変更する。
 竹の里公園西側で洛西竹の里会館、酒類量販店などが立地する敷地は、第二種中高層住居専用地域から近隣商業地域に変更。建ぺい率は60%から80%に変更する(容積率は200%で変更なし)。高度地区は15m第1種高度地区から15m第3種高度地区に変更する。