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建設経済新聞社
2023/10/13

【京都】安祥寺川改修で河川トンネル 京都土木事務所が詳細設計を発注

 京都府は、安祥寺川広域河川改修事業として計画の地下河川(河川トンネル)について、前年度の予備設計を踏まえ、今年度は詳細設計に着手する。
 淀川水系安祥寺川(京都市山科区)の流域においては、平成25年台風18号及び令和3年8月豪雨により、道路や宅地の浸水、京阪京津線及び市営地下鉄東西線などの浸水による運休など大きな被害が発生した。
 これを受け、京都府と京都市が協調し、概ね10年に1回起こり得る降雨による洪水を安全に流下させるための河川改修を実施する。
 府と市は令和4年1月に一級河川安祥寺川及び四宮川の治水安全度の早期向上を目的とする府市政策協定を締結。府を事業主体として、国の防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策を最大限活用して安祥寺川改修事業を推進する。
 政策協定の効果として、▽安祥寺川の改修完了時期を令和25年度頃から令和15年度頃に約10年前倒し▽国の支援制度を最大限活用するとともに、安祥寺川の河川改修を分割施工(約68億円)から一体施工(約55億円)とすることで総事業費を約13億円削減▽京都市の持つ都市基盤事業によって培った経験や基礎自治体として地域に精通する強みを安祥寺川と四宮川の改修に活用−を見込む。
 政策協定締結後の安祥寺川の河川改修は、上流工区と下流工区を一体として府が施工。立坑が1本不要になるとともに、地下トンネルの掘削を一度に実施することができる(立坑2ヵ所、約500mの地下トンネル)。総事業費約55億円のうち、国費は約27億5000万円(50%)。
 対象となる河川改修事業の区間は、安祥寺川が府道四ノ宮四ツ塚線下流からJR東海道本線上流まで延長約500mの区間、四宮川が山科川への合流点から藤尾川合流点まで延長約2000mの区間。工期は令和4年度〜15年度頃。
 府は令和4年度に1000万円を予算化した。また体制整備として、令和4年4月に京都土木事務所に「安祥寺川・四宮川整備推進室」を設置。府と市から職員を配置し、同推進室が両河川の事業を担う。
 京都土木事務所は、安祥寺川河川トンネル予備設計(500m)を行う業務を指名競争入札で令和4年10月に開札。日本工営に決定し進めた。
 予備設計を踏まえ、詳細設計を行う業務をこのほど指名競争入札で通知。10月19日に開札し、担当業者を決める。業務概要は延長500m、分流施設検討1ヵ所、流出施設詳細設計1ヵ所、人孔詳細設計一式、管渠(シールド)詳細設計一式、二次元弾塑性FEM解析2断面、水理模型実験1業務。設計工期は令和6年10月31日まで。
 安祥寺川では、治水能力の向上を目的として三条通(府道四ノ宮四ツ塚線)の南側からJR東海道本線の北側までの約500m区間において、地下河川を新設する計画。今回委託する業務は、既往の設計・調査成果を精査したうえで、地下河川の詳細設計を行うとともに、その内容について水路模型実験により検証する。
 模型再現範囲については、安祥寺川(河道)は上流区間が約80m、分流堰区間が約25m、下流区間が約90m。取水施設は分流堰が約15m、沈砂池が1ヵ所、流入立坑が内径φ4・5m×深さ約16m。トンネル(地下河川)は内径φ3100o。