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北陸工業新聞社
2023/10/13

【富山】契約者割戻率は20%超に/建設共済保険、さらに制度充実/建設業福祉共済団/安い掛金で手厚い補償

 公益財団法人建設業福祉共済団(東京都港区虎ノ門、茂木繁理事長)は、法定外労災補償制度「建設共済保険」について、「契約者割戻金制度」の導入による掛金負担の軽減など、契約者と建設業界の発展に向けた制度充実に努めている。
 契約者割戻金制度は、2022年度からスタート。毎年の保険事業の決算で掛金全体のうち、保険料相当分にあたる82%において、経常収支の剰余金が発生した場合、所定の金額を契約者に割り戻すもの。導入初年度の22年度決算(23年3月31日)では、剰余金10億4800万円が発生。直近3事業年度の剰余金平均値5億9600万円を原資として算出した契約者割戻率は20・53%となり、9月には契約者に割戻金が支払われた。
 さらに、23・24年度に保険契約が有効に成立している契約者に対しては、割戻金を支払うことが確定しており、同共済団では、この機会に建設共済保険に加入するよう呼び掛けている。
 厚生労働省・国土交通省認可の建設共済保険は、全国建設業協会との特約により、全国初の法定外労災補償制度として、1970(昭和45)年11月に創設。建設業に従事する労働者が業務・通勤災害で死亡、重度の障害または傷病を受けた場合、国の労災保険に上乗せし保険金を支払う制度であり、安い掛金で手厚い補償が受けられる。基幹契約の「年間完成工事高契約」と付随契約の「関連事業契約」、「甲型共同企業体契約」がある。
 このうち、年間完成工事高契約は、被災者などに対する追加的補償を行う「被災者補償」と労働災害に起因した企業の諸費用を補償する「諸費用補償」で構成。労働者福祉の向上、労働災害による企業の経営上の危機に備える制度として、契約件数は2万4000社を超える。
 主な特長は、(1)建設業における自主的な共済保険で掛金が安い(2)被災者への補償だけでなく、災害発生時に企業が負担する諸費用も補償(3)同一事故で多数被災した場合や契約期間中の複数事故でも補償額の上限なし(4)元請・下請を問わず無記名補償、同一現場における重複支払いも可能(5)代表者(保険契約者)も補償し、掛金は不要(6)経営事項審査において15点の加点−。
 また、21年10月には、無事故割引率と保険金区分の新設などの制度改定を実施。無事故割引率の適用基準となる完工高区分10億円以上について、3区分を9区分に細分化、全体で12区分に変更した。保険金の支払いを受けて契約更新を迎える場合、改定後の割引率を適用し、完工高5億円以上のランク2の割引率を引き上げ、契約更新後の掛金の跳ね上がりを緩和。ランク3の割引率では一部を除き引き下げたが、一律の改定は行わず、最長5年間の経過措置を講じている。
 建設共済保険の最高補償額である保険金の区分では、1000万円〜4000万円の4区分に5000万円を追加し、全5区分に改定。建設共済保険制度の掛金割合も保険事業に82%(従来85%)、労働安全衛生推進事業と育英奨学事業の共済事業に18%(同15%)を充てるよう順次見直しを進めている。
 このうち、労働安全衛生推進事業では、年間掛金に応じた安全衛生用品を頒布。現場の女性専用トイレと女性専用更衣室(ロッカー付)設置費用に対する助成、労働安全衛生推進者表彰なども実施している。育英奨学事業は、保険金の支払いのあった被災者(死亡、障害・傷病3級以上)の子供に対し、返済不要の奨学金を継続して支給。22年度は総額4538万3000円を給付した。
 なお、年間完成工事高契約の付随契約である、工事現場単位契約については、公益性と公平性の観点から、24年9月末をもって販売停止にすることを決定。年間完工高契約に一本化する。
 同共済団では、毎年10月と11月を「建設共済保険加入促進月間」に定め、全国建設業協会や各都道府県建設業協会らの協力を得ながら、各種PR活動を強化。今後も制度充実と普及活動を鋭意展開していく方針だ。
 契約に関する問い合わせは、同共済団(電話0120−913−931)まで。県内の取扱機関は、富山県建設業協会(電話076−432−5576)となる。

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