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建通新聞社
2023/10/24

【大阪】さらなる万博建設費の増額 負担ルール堅持 

 万博会場建設費が2350億円に―。国からの要請で会場建設費の精査をしていた2025年日本国際博覧会協会は10月20日、西村康稔経済産業相、自見はなこ国際博覧会担当相、吉村洋文大阪府知事、横山英幸大阪市長、経済界の関係者らに対して精査結果を報告した。会場建設費の増加額は500億円で、当初に計画していた1250億円の約1・9倍増の2350億円という結果になった。
 精査結果では、@物価上昇(プラス527億円)A工事内容の見直し・変更(マイナス157億円)B予備費(プラス130億円)―の三つを基に増加額を決定した。
 物価上昇においては、資材価格と労務単価の現況と近年の上昇率を踏まえ、527億円(資材価格443億円、労務単価84億円)を追加計上。
 工事内容の見直し・変更においては、施工環境改善工事に係る追加計上があったものの、協賛獲得による調達方法の見直しや、会場デザインの合理化、電力関係設備の見直しなどによって、157億円の節減となった。
 予備費には想定外の物価上昇や災害などの発生の備えとして130億円を追加計上。万博協会が建設費を一時的に立て替えたタイプXパビリオンの建設費について、建物の引き渡し後に海外参加国から回収できない場合は予備費で賄う方針だ。
 報告を受けた吉村知事は、2度目となる建設費の上振れに対して「説明が不十分だ。精査内容の詳細を確認し、厳しく精査して受け入れるか判断する」と話した。横山市長も「府民・市民に納得してもらえる内容か確認したい」と話した。
 西村経産相も同様に政府として再度内容を精査して回答すると述べた上で、「国、大阪府と市、経済界で3分の1ずつ負担するという大原則は堅持することを前提に進める」と会場建設費の負担ルールは変えない考えを示した。
 今回の増額により、国、大阪府・市、経済界の負担額はそれぞれ約783億円となる。国はこれに加えて警備費200億円程度の負担を検討している。また経済界からは、負担増額分について、1970年の大阪万博を機に設立された日本万国博覧会記念基金の取り崩しを求める意見も上がっている。
 石毛事務総長は、報告後の記者会見で改めて増額の経緯を説明し、「追加的な負担は避けたい思いで運営してきたが、新型コロナウイルス感染症やロシア侵攻、物価高騰など環境の変化があり、やむを得なかった」と国民負担の増加に対する理解を求めた。
 さらに、「私たちのミッションは基本計画の策定と、定めた目標達成に向けて努力すること。2350億円という“上限”を認めてもらって、その範囲内で収めるようにする。それを超える可能性はない」と3度目の増額を否定した。