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建設経済新聞社
2023/10/30

【京都】榎峠バイパス、上野平バイパスの2事業 京都府が第三者委で再評価

 京都府は、榎峠バイパス、上野平バイパスの2事業を11月8日開催の令和5年度第1回公共事業評価に係る第三者委員会に諮り審議する。ともに再評価となる。
 国道429号(榎峠バイパス)道路整備事業は、令和元年度の事前評価対象事業。
 事業区間は、兵庫県丹波市青垣町中佐治から榎峠を越え、福知山市談に至る約2・4q(うち京都府域約1・1q)で、国道429号の京都府域唯一の未改良区間。
 現道は一部カーブの部分的な拡幅を除き、ほとんどの区間で道路幅員が5・5m以下となっており、そのうち最小箇所の幅員は約3・0mで十分な幅員が確保されておらず、大型車の通行はもとより、普通自動車も離合が困難な状況。また、つづら折れになった峠道は急カーブが連続し、最小曲線半径は約6・0mで、見通しが悪く走行性も悪いことから、地域住民の日常的な交通に支障が生じている。特に冬期には積雪や凍結の影響により危険な通行を余儀なくされている。
 バイパス道路の整備により、道路線形の改良及び道路幅員の拡幅を行うことで安全かつ快適な道路交通を確保する。ルートについては、京都府・兵庫県が共同で計画し検討した結果、兵庫県側整備済み区間を有効利用し、トンネル延長を短くするルートを採用する方針。
 延長は2400m(うち京都府域1090m)で、榎峠トンネル(仮称)は1092m。幅員は7・5m(トンネル部7・0m)の2車線。土工部が幅員7・5m(車道3・0m×2車線、路肩0・75m×両側)、トンネル部が幅員7・0m(車道3・0m×2車線、路肩0・50m×両側)で、監査歩廊は0・75m×両側。
 計画交通量は5000台/日(令和22年予測交通量)。道路の区分は第3種第3級。
 進捗状況によると「令和2年度に着手し、測量設計を進め、令和4年度末で73%(面積ベース)の用地買収が完了。現在、トンネル工事に係る工事用道路工事を進めている」。なお工事延長L524・5mで、トンネル工(発破工法)掘削・支保工などを行う榎峠トンネル(仮称)について、令和5年10月11日に開札し、大林−鶴美−マルキ特定建設工事JVが18億5900万円(税込20億4490万円)で落札した。工期は府議会の議決後、令和7年9月30日まで。
 府のトンネルを整備する道路事業との比較としては、国道429号(榎峠バイパス)は単価290万円/m(令和5年度再評価)、宇治木屋線(犬打峠バイパス)は単価340万円/m(令和4年度再評価)。
 全体事業費は70億円(京都府36億円、兵庫県34億円/このうち用地費は1億5000万円で京都府1億3000万円、兵庫県2000万円)。
 令和4年度末までの投資事業費(金額ベースの進捗率)は4億6000万円(進捗率7%)で京都府・兵庫県ともに2億3000万円(京都府の進捗率6%、兵庫県の進捗率7%)。このうち用地費は1億円(進捗率82%)で京都府8000万円、兵庫県2000万円(京都府の進捗率73%、兵庫県の進捗率100%)。
 全体事業費は、事前評価時の43億円(京都府22億円、兵庫県21億円)から27億円増(京都府14億円増、兵庫県13億円増)となった。
 事業費の増額要因は@資機材費・労務費の上昇約9億1000万円増Aトンネル支保構造の変更(令和元年度以降の詳細な土質調査の結果、軟弱な層の存在が示唆されたことに伴い、支保構造等の変更が必要となり、そのための費用を計上)約4億5000万円増Bトンネル坑内における換気基準の改定約5000万円増。減額要因は@他現場からの建設発生土の流用約1000円減。
 兵庫県分は、資機材費用・労務費の上昇及びトンネル支保構造の変更、トンネル工事における坑内換気基準の改定等により13億円の増額。
 総便益(B)は81億7000万円、総費用(C)は63億2000万円で、費用便益比(B/C)は1・3と算出した。残事業はBが81億7000万円、Cが56億6000万円でB/Cは1・4と算出した。
 事業進捗の見込みについて「地元の理解を得ながら用地買収を進め、一部工事にも着手している。事業の反対もなく、事業推進に大きな障害はないため、早期完成に向けて引き続き事業進捗を図る」とした。
 取り組み状況は、令和2年度に測量、土質調査、道路・トンネル詳細設計、水文調査、令和3年度に用地測量、土質調査、トンネル設備詳細設計(兵庫県)、水文調査、令和4年度に用地買収、工事用道路工事。
 事業期間は令和2年度〜令和8年度の7年間を予定。
      ◇      
 一般国道178号(上野平バイパス)道路整備事業は、平成25年度の事前評価対象事業。
 事業区間は、京丹後市丹後町久僧から平に至る延長約2・5qの区間。人家が連担し、幅員が狭小な区間と急カーブや急勾配の区間が連続しており、また通学路であるにもかかわらず、歩道がない状況。この区間をバイパス道路で迂回し、通過交通を分離する。
 延長は1700m。幅員は10・0m(片側歩道)。
 計画交通量は3200台/日(令和22年予測交通量)。道路の区分は第3種第3級。
 進捗状況によると「平成26年度に着手し、測量設計を進め、令和4年度末時点で94%(面積ベース)の用地買収が完了し、埋蔵文化財調査も実施している。また平成30年度からは道路築造工事に着手し、引き続き工事を実施していく」。
 全体事業費は48億円(このうち用地・補償費は1億1000万円)。
 令和5年度末までの投資事業費(見込み)は21億8000万円(進捗率46%)。このうち用地費は8000万円(面積ベースの進捗率94%)。
 全体事業費は、事前評価時の19億円から29億円増となった。
 事業費の増額要因は@資機材費・労務費等の上昇約19億円増A埋蔵文化財による計画変更(文化財を回避するルート設定)約7億1000万円増B超過洪水を考慮した道路構造の変更(新宇川橋の橋長をL60mからL115mに延ばす)約3億円増。減額要因は@建設発生土の流用約1000万円減。
 総便益(B)は48億1000万円、総費用(C)は46億9000万円で、費用便益比(B/C)は1・02と算出した。残事業はBが48億1000万円、Cが23億6000万円でB/Cは2・04と算出した。
 事業進捗の見込みについて「用地買収は概ね完了しており、工事にも着手している。埋蔵文化財調査はルートを見直すことで調査期間の短縮を図り、概ね完了している。当初想定していなかった埋蔵文化財調査や河川条件を踏まえた結果、事業費が増大しているものの、事業進捗の阻害要因は現時点では見当たらず、早期完成に向けて引き続き事業進ちょくを図る」とした。
 取り組み状況は、平成26年度〜平成30年度に調査・測量・設計、平成29年度〜平成31年度に用地買収、平成29年度〜令和5年度に埋蔵文化財調査、平成30年度〜令和5年度に道路築造。
 事業期間は平成26年度〜令和9年度を予定。
 両事業ともに、公共事業評価に係る第三者委には、総合評価として「事業を継続する必要がある」とする府の方針を示す考え。