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建通新聞社(静岡)
2023/11/02

【静岡】河川工事にも土質改良土活用

 静岡県は、道路工事に盛土材料を使用する際の「盛土材料取扱基準」を12月に改定し、県発注工事での土質改良土の適用範囲を拡大する。基準の適用範囲に河川工事、海岸工事、砂防工事の3分野を追加する他、良質土を混合した場合も土質改良土として使用できるようにする。道路工事でも、使用頻度の高い「裏込め材・埋め戻し材」の品質規格を新たに設ける。
 県内の建設発生土の有効利用について話し合う「みらいの県土研究会」を10月30日に開き、土質改良土の利用拡大に向けた基準改定案を提示した。
 現行の盛土材料取扱基準には、県交通基盤部が発注する道路工事に盛土材料(山土、再生盛土材、土質改良土)を使用する場合の品質規格・使用承諾・検査などの手続きを規定している。現在、盛土材料の販売業者はこの基準を踏まえ、年1回の土木事務所の検査をクリアすると、県発注工事での使用承諾を得られる。
 県の基準改定案によると、道路工事に限定されていた土質改良土の適用範囲を河川・海岸・砂防の各工事に拡大し、品質を担保した土質改良土が使用承諾を得れば、道路以外の工事にも使用できるようにする。
 基準で示している土質改良土の定義も見直す。盛土条例の規定に合わせ、土砂にセメント・石灰によって安定処理させたものに加え、良質土を混合して粒度を調整した土砂も土質改良土と定義する。
 道路工事でも、現行基準で土質改良土を使用できる路床材と路体材に加え、裏込め材・埋め戻し材にも土質改良土を使用できるよう、品質規格を新たに設ける。路体材の品質規格を見直し、CBR(路床土支持力比)の規格を削除。CBR試験を行わなくても、盛土材料としての使用承諾を認める。河川築堤盛土材には暫定的な品質規格を設け、段階的に基準化を図る。
 盛土条例が土質改良土にも土壌環境基準への適合を求めているため、盛土材料として使用する場合も基準適合を求める方針だが、土質改良プラントの負担を考慮し、分析調査の頻度などを引き続き検討するとしている。

ストックヤード 年内にモデル事業を開始

 30日の研究会では、官民連携で整備・運営するストックヤードのモデル事業の進捗も報告。中部地区では静岡市内、東部・西部地区では長泉町と浜松市南区で年内に県発注工事から建設発生土を受け入れるとした。
 中部地区では、静岡市内の民有地を対象に技術提案を公募しており、11月上旬に委託先を決定。ストックした建設発生土を良質土と混合し、河川工事の仮設材に利用するための土質改良を検証する。浜松市南区のモデル事業では、河床掘削土を土質改良した場合の品質を検証する。長泉町のストックヤードでは、沼津土木事務所管内で発生する土砂5000立方bをストックする見込みだ。
 県は、モデル事業での成果を踏まえ、2023年度末にストックヤード整備計画をまとめる。整備計画には、ストックヤードを整備・運営する際の手引きも盛り込み、県だけでなく、市町・民間事業者が主体のストックヤード整備を後押しする。
 県は24年度以降に県下の各地域にストックヤードを整備し、建設発生土の工事間利用につなげる考えだ。