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北陸工業新聞社
2023/11/06

【富山】23年秋の叙勲/中野健司氏(元建築士会会長)に旭日双光章/「防災協定など実効性あるものに」

 2023年「秋の叙勲」受章者が発表され、県内から建築設計監理業振興功労として、元富山県建築士会会長の中野健司氏が旭日双光章に輝いた。
 受章に対し「とてもありがたいこと。建築士会でお世話になった先輩後輩、士会活動への参加に協力していただいた会社の先代と先々代の社長と従業員、家族に感謝したい」との感想を述べる。
 建築士会は個人の資格者で構成し、会員は建築設計監理業や施工業者、行政、教育機関など多岐にわたり、「士会活動は30歳ごろから参加し、40年近くになる。富山県はコンパクトで一つになりやすく、全体が概ね分かる。若い時から県下の隅から隅まで、会社の業務以外に才能や思いのある多くの方と関わる中で勉強させてもらい、個人の資質を高めてきたのが現実。士会に育てられた思いがとても強い」と語る。
 建築業界では、働き方改革や建設物価の高騰など課題は多く、「最近思うのは、平和でないと世の中が成り立たないということ。イスラエル、ウクライナでの戦争は、建築資材やエネルギー価格の高騰に影響がある。建築とまちづくりで、より良い社会と暮らしを創っていく時に、歴史的遺産も含めて生活が壊される戦争の映像を見ると無力さを感じる。平和が根本であり、何とかならないものか」と行く末を憂う。
 建築士会では2014(平成26)年5月から2期4年、会長を務めた。「会長就任時から社会貢献、地域課題の解決に目を向けていたが、1期2年の任期を終え、思いと組織体制が一致しておらず、まずいと感じた」と振り返り、「そこで2期目に入る時に委員会組織を改編。まちづくり委員会に防災、歴史、空き家、木材の4つの部会を設けた。現在各部会で着々と動いているが、実効性が伴うことが重要」と説く。
 また、会長2期目には富山工業高校が「建築甲子園」で全国優勝、大会初の連覇を果たした。「優勝した生徒からコンペを通じて、建築には地域課題を解決できる糸口があることを感じたという話しがあった。そういう若い人たちが、これからの建築を背負うことは大変素晴らしいこと」と身を細める。
 人口減は大きな問題であり、建築士会でも会員減に歯止めを掛けることが急務。「各世代を背負う人をどう養成し、どうつなげていくのか。士会は良い活動をしているが、多くの若い人が参画しないとつながらない。今まで通りではなく、これからの若い世代の考え方に沿って、自分たちの力で進めてほしい」との願いを込め、「防災協定やヘリマネの養成なども仕組み、社会コンセンサスをどう作っていくかが課題。実効性あるものとして、継続させるのはこれからの人達。うまくやってほしいし、個人的にも協力したい」。
 なかの・けんじ 工学院大建築学科卒。70歳。鈴木繁雄建築設計事務所を経て、82年6月に新建築設計事務所入社。01年12月から社長。建築士会では98年4月から理事、常任理事や副会長も務め、現在は相談役。県建築設計監理協同組合常務理事も務める。16年に国土交通大臣表彰、18年に県功労表彰を受賞。射水市在住。

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