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建通新聞社
2023/11/24

【大阪】近畿地整事業評価監視委員会 3事業を審議 

 国土交通省近畿地方整備局は、2023年度第3回事業評価監視委員会を開き、淀川総合水系環境整備事業と一般国道176号名塩道路、堺泉北港国際物流ターミナル整備事業の3件を審議。いずれも「事業継続を妥当」とした。堺泉北港国際物流ターミナル整備では、事業費全体で約52億円増額、事業期間を約3年間延長する。あいさつした見坂茂範局長は、「総合経済対策の柱の一つとして、国土強靱(きょうじん)化や防災減災対策など国民の安心・安全の確保も重要視されている。関連するインフラ整備のさらなる推進が求められるので、整備局としてもしっかりと事業を進めていきたい」と述べた。
 堺泉北港汐見沖地区で、岸壁(桟橋構造)における鋼管杭の支持層の位置が、想定していた深度28・5bから深度51・1bであることを土質調査によって確認。杭長の見直しによる鋼管杭材費が増加した。この見直しに伴い、作業船も大型化する必要が生じたことや物価上昇による資機材と労務費の増加などから事業費が約255億円から約307億円に増えた。
 また、杭長の見直しにより継ぎ杭が必要となったため、杭の建て込み作業と溶接作業、品質確認試験を追加した結果、打設能力が1日当たり2・8本から0・8本に低下。杭打ちの施工期間が86日から300日に延びた。作業船の大型化により、岸壁整備と防波堤撤去の同時施工が困難となったことなどから、24年度までとしていた事業期間を27年度までに延長した。
 同事業では、汐見沖地区で中古車輸出のための新たな岸壁(マイナス12b)と背後ヤードを整備する。また、助松地区ではコンテナの取り扱いを助松8号岸壁(マイナス12b)から助松9号岸壁(マイナス14b)に移転する他、九州航路と関東航路の二つのRORO航路を隣接する助松7号・8号岸壁に移転する。
 淀川総合水系環境整備事業では、地域と連携した水辺整備による河川利用の促進や失われた多様な生物の生息・生育・繁殖環境の再生を目指す。前回評価から水辺整備として新たに@大阪市淀川区(十三)A枚方市B京都府八幡市C京都市伏見区D京都府宇治市―の5カ所を追加。かわまちづくりとして基盤整備や高水敷整生、親水護岸の整備を行う。
 名塩道路事業では、兵庫県西宮市山口町上山口〜宝塚市栄町3丁目の10・6`区間に4車線道路を整備し、交通渋滞の緩和や異常気象時の交通確保を図る。トンネル区間において、当初の想定よりも風化が著しくトンネル側面からも崩落が発生したため、天頂部だけでなくトンネル全周に長尺鋼管フォアパイリングを追加した。
 また、JR福知山線と近接する切土区間において、大きな岩塊が落石しないよう人力施工による割岩掘削を採用した他、武庫川張出橋の上部工構造を、連続鋼床版鈑桁からPC中空床版に変更したことなどから、事業費が1011億円から1086億円に増加した。
 22年度末までの事業進捗率は事業全体で、事業費ベースで91%となっている。