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建設新聞社
2023/11/29

【東北・宮城】東北防衛局が自衛隊施設の最適化事業で説明会

 東北防衛局は28日、今後本格化する自衛隊施設の最適化事業について、日本建設業協会連合会東北支部と宮城県建設業協会の会員を対象とした説明会を仙台市のTKPガーデンシティ仙台で開いた。管内の整備対象施設は、建て替えが約1391棟、改修が約502棟で、全建築物の約8割に上る計約1893棟。東北に29ある基地・駐屯地1カ所ごと1件の発注ロットとし、ECI方式か設計付工事発注方式を採用。ECI方式の設計業務で早い案件は年明けにも公告する。
 これまで本省で説明会を実施してきたが、東北防衛局としては初めて。当日は約70社が出席した。今後、青森・秋田の両県でも開催する考え。開会に当たり、東北防衛局の斉藤修市調達部長は「これまでにない、極めて大規模な調達を実現するには、地元を含め建設会社の協力が欠かせない。局としても全力で取り組む」とあいさつ。事業計画は本省統轄事業監理室の御園只士室長が説明した。
 防衛省は「防衛力整備計画」に基づき、自然災害や武力攻撃に耐えられる自衛隊施設の強靱化に着手する。現行の建築基準法に満たない施設と、2003年の事務次官通達「自衛隊施設の基本的性能基準について」による防護性能を満たさない施設が対象。旧耐震基準の建築物は建て替え、新耐震基準でも防護性能を満たさない施設は建て替えまたは改修する。
 期間は10年程度を見込み、実際の工事期間は15年に及ぶ見通し。当面5年間(23〜27年度)では契約ベースで4兆円の発注を予定。米軍関連施設の整備予算は別途措置するため、省全体では毎年1兆円規模の調達に取り組んでいく。
 東北管内では現在、施設最適化マスタープラン作成業務を2件発注しており、北東北18地区はオリエンタルコンサルタンツ・綜企画設計・復建技術コンサルタントJV。南東北11地区は久米設計・協和コンサルタンツJVが担当している。
 業務成果によって整備対象施設数は変わる可能性があるが、既存施設について見ると、
青森県内には13の基地・駐屯地(13地区)があり建て替え701棟、改修279棟を計画。岩手県内は2地区で建て替え70棟、改修22棟。秋田県内は3地区で建て替え71棟、改修31棟。宮城県内は7地区で建て替え360棟、改修105棟。山形県内は神町駐屯地のみ1地区で建て替え77棟、改修30棟。福島県内は3地区で建て替え112棟、改修35棟(詳細は後日掲載)。
 発注に際しては1地区(基地および駐屯地)を1件とし、事業規模が大きな地区はECI方式、比較的小規模な地区では設計付工事発注方式(公募型プロポーザル)を適用する。監理技術者は1地区当たり1人とする方針。部隊機能を現地で維持しながらの工事となるため、仮設建物などの設置も伴う。
 ECI方式は設計業務と別途、施工業者が技術協力業務を受注し、その後に工事の優先交渉権を得る。工事そのものは分割し複数年度にわたって随意契約する。設計付工事発注方式は設計と施工を一体的に発注し、設計はゼネコンの設計部門かコンサルタント会社が担うことを想定する。ゼネコンが設計などを行う場合、建設コンサルタントの登録を求める(随時受付)。
 参加形態は、単体または最大10社までのJVとする方針。単体およびJV代表者は防衛省の建築一式工事1600点以上を想定。ECI方式は甲型JVとするが異工種の企業が構成員になることは認める。設計付工事では甲型・乙型の区分は任意に設定できるが、乙型の場合は構成員各社が監理技術者を配置する必要がある。
 またECI方式・設計付工事発注方式ともに、構成員に地元企業を含む場合、その数によって選定時評価で加点する。また県内下請業者への発注予定金額(2次以下の下請けを含め)に応じた加点も行い、請負金額の20l以下となる場合は失格とする。
 監督検査体制に関しては、ゼネコンなど受注者が第三者(品質証明者)に品質証明業務を発注するが、受注者の品質管理部門が担当することも認める方針。
 ECI方式による早い地区では年明けから設計を公告する。ECI方式の技術協力業務と設計付工事発注方式は、24年度早々から手続きを進める考え。
 事業遂行には地元建設会社の参画が不可欠なため、参加要件なども緩和する。
 すでに今年8月1日以降公告分から、防衛省の工事に1次下請けで参画した案件も実績(経験)として認めることにした。
 加えて今月15日以降公告分から、配置予定技術者に求める参加要件を大幅に緩和。従来、企業には工事対象物の60l程度の実績を求め、技術者にはさらにその5割程度の経験を求めていた。今後、技術者には延べ面積や階数といった規模を求めない。
 また、同一入札に参加した他の企業(いわゆる相指名業者)が協力企業として参加することを認める。
 なおECI方式や設計付工事発注による最適化事業は、今後5カ年の防衛力整備計画(4兆円)の投資額のうち約1兆7000億円を占める。そのほか、災害対策約4000億円、司令部地下化や火薬庫整備など約4000億円、部隊新編・新規装備に係る施設整備など約1兆4000億円については、従来同様の分離分割発注(一部大型事業はECIなども想定)を適用していく。

 提供:建設新聞社