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建設経済新聞社
2023/12/08

【京都】宮津の国道178号(里波見〜長江)道路整備事業 道路構造検討で冬季の環境調査

 京都府は、宮津市で計画の一般国道178号(里波見〜長江)道路整備事業について、道路構造検討の基礎資料とするため、冬季の環境調査に入る。
 国道178号は、舞鶴市を起点に宮津市、伊根町を経て、鳥取県岩美町に至る延長約197qの幹線道路。第二次緊急輸送道路および重要物流道路の補完路に指定され、また天橋立や伊根の舟屋群等の観光地を連絡し、丹後半島沿岸を一周、「海の京都」エリアの観光を支える観光道路であるとともに、地域住民の生活道路でもある。
 路線上には、連続雨量による通行規制区間があり、降雨による雨量規制や山側の法面崩壊によって度々通行止めが発生。近年では平成30年7月豪雨により宮津市里波見で被災し、伊根町が約2日間にわたって孤立する事態となった。
 急峻な地形と脆弱な地質のため、連続雨量120oで通行止めを行うこととなっている宮津市里波見から長江の2・6qの区間では、これまで法面防災対策を進めてきた。
 令和4年度に新規事業化した一般国道178号(里波見〜長江)道路整備事業は、全体事業費が59億4000万円を見込む大型事業。
 若狭湾を望む幹線道路において、降雨による通行規制や山側の法面崩壊による通行止め、越波による飛沫等の発生による道路上への海砂の打ち上げなどの対策として、海側に道路を拡幅することにより、天候に左右されない安心・安全かつ円滑な通行の確保を図る計画。
 整備箇所は宮津市里波見〜長江の延長L2600m。車線は2車線で幅員W10・0m(車道3・25m×2車線、自転車通行帯1・0m×2、路肩0・75m×2)。海側拡幅はL19〜32m。
 事業評価時の計画によると、海側拡幅案は「海側へ道路を拡幅して、法面崩壊の土砂等を捕捉するポケットを確保する」「埋立地を工事ヤードに使用することで、現道の通行規制が生じない」「施工範囲を分割することで、部分供用が可能」「消波ブロックの設置、道路嵩上げにより、越波の影響を受けにくくなる」「走行車両、自転車から海岸線への景観を確保。法面対策を行わないため、現状の景観を損なわない」ことが特徴。一方で、海岸埋立範囲への漁業補償や海岸護岸の維持管理が必要となる。
 盛土して行う海側への道路拡幅は、埋立面積・漁業補償・海岸構造物規模の低減の観点により必要最小限に抑える考え。
 計画交通量は6300台/日(令和12年予測交通量)。道路区分は第3種第2級。
 総便益(B)は53億3000万円、総費用(C)は40億9000万円で、費用便益比(B/C)は1・3と算出した。
 事業期間は令和4〜18年度。
 これまでの主な取組をまとめると、抜本的な対策の検討に向け、令和元年度に調査を開始。現道拡幅、沖出し、トンネルのルート検討にあたり、京都府丹後土木事務所は、宮津市里波見から長江の道路概略設計(A)延長2600m(2・6q)をエイト日本技術開発で実施した。
 令和2年度は、山地及び海岸地形の把握のため、航空グリーンレーザ測量をアジア航測で実施した。業務内容は測量延長2400m、測量全幅300m(陸上部200m、海底部100m)。
 また道路概略修正設計(A)延長5400m(5・4q)、道路概略設計(B)延長2400m(2・4q)をエイト日本技術開発で実施。雨量規制区間の宮津市里波見から長江の約2・6qの区間において、航空グリーンレーザ測量の成果を活用し、地質・地形を把握した上で最適な整備手法を検討し、強靭化対策として改良計画をまとめた。
 令和3年度は、道路予備設計(A)2200m(2・2q)の検討を行う関連業務を令和3年8月に開札し、建設技術研究所が落札。4年3月開催の公共事業評価に係る第三者委の基礎資料とするため、路線選定、設計図作成、概算工事費算出を行った。
 令和4年度は、事業着手に伴い、地元関係者や学識経験者等の意見を聞きながら必要な調査を行い、自然環境や漁業に配慮した道路構造を検討するための基礎資料を作成。令和5年3月に開札し、日本工営に決定。業務内容は延長L2600m、幅員W8m、既存資料整理一式、現地調査計画の策定一式、現地調査一式、「良好な環境の形成及び保全」の検討一式。工期は210日間。
 令和5年度は、環境調査(夏季・秋季調査)を踏まえ、引き続き環境調査(冬季調査)を実施し、学識経験者等の意見を聞きながら、調査結果をとりまとめる。
 現地調査結果を整理し、過年度調査結果等も踏まえ、重要種等の位置情報や道路事業による消失想定範囲等の特性についてとりまとめる。また海域生物の現地調査結果を用い、海域生態系の注目種の整理を行う。
 このほど関連業務を指名競争入札で通知。12月15日に開札し、担当業者を決める。工期は令和6年6月30日まで。