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日本工業経済新聞社(埼玉)
2023/12/18

【埼玉】埼建協アンケート、24年問題を前に最多の回答数

 埼玉県建設業協会(小川貢三郎会長)は、2023年度「建設業の経営および従事者の実態等に関するアンケート」の回答結果をまとめた。営業利益率の面で2極化を映し出した。人手不足への危機感は非常に強く、各社が踏ん張る実態が現れた。
 前(22)年度期の営業利益率をみると「6%以上」の企業が80社(割合31%)と最も多かった。次いで「0%以上2%未満」が56社(22%)、「2%以上4%未満」が47社(18%)、「4%以上6%未満」で43社(17%)、「0%未満」は30社(12%)という結果になった。
 調査期間は7月21日〜9月8日まで。回答締切時の会員411社のうち過去最多となる257社、約63%が前年度期の決算状況などについて答えた。
 過去5年間(17〜21年度)の結果を集計した平均営業利益率は4%。今回調査はこれまでの回答率(17・8〜22・5%)より大幅向上したため、単純比較はできないものの、過去5年平均を基準とみた場合、今回調査では営業利益率4%以上の企業が48%(123社)、下回る会社は52%(133社)となり、割合はほぼ半々。2極化が鮮明になっている。
 経営状況については、約5割が1年前から「横ばい」と答えた。1年前から「良い・少し良い」が3割、同じく「悪い・少し悪い」が2割。
 ネガティブな状況判断が比較的少ない中、利益率の2極化が起きているのは、会社によって利益率が固着化してしまっている可能性もありそうだ。
 完成工事高については▽10億円以上=91社(36%)▽5億円以上10億円未満=55社(22%)▽3億円以上5億円未満=52社(20%)▽1億円以上3億円未満=48社(19%)▽1億円未満=9社(3%)――という分布。
 組織体制面の懸念事項では、77%が「技術(技能職含む)社員の人員不足」と答え、圧倒的多数に上った。社員数の今後の見通しでは「大きく減少」が6%、「微減」は34%、「横ばい」が46%、「増加」は14%。
 新卒者の入職状況・予定をみると、技術継承に対する危機感は企業によって深刻さを増す。
 新卒の入職がゼロだったのは22年度108社、23年度137社であり、24年度もゼロ予定とみる回答も114社に上った。世代間の空洞化が懸念される。全体的に新卒者の採用規模は年間1〜2人が多く、二桁以上を採用している企業は数社に限られる。


■人手不足、訴え切実

 アンケートには自由意見も寄せられた。24年問題(時間外労働の上限規制)、働き方改革を背景にした意見が大半を占めた。
 とにかく人材が不足。その上「時間外上限規制など人が少ないと対応できない。若い社員のレベルアップも困難」との見方や、「技術者・技能者ともに人材不足。災害時対応含め今後の先行きが不安。技術者要件はさらなる緩和を」、「会社の存続に一番懸念される人材不足について、建設業協会として本格的な取り組みを希望する」などの訴えが並んだ。
 高額な人材募集をさまざま試みても採用に至らないとする企業は「休日・賃金を他社に比べて上げているが、効果はゼロ。建設業に携わりたいという若者がいない、要は人気がない。この課題を1業者・1小団体では解決できない」と強調している。
 民間工事に対し「週休2日を実現しないと建設従事者が大幅に不足する」と唱える意見もあった。
 各社それぞれが「工夫して乗り切る」現状にあって、「いかに良い案件(利益を出せる案件)を確保できるかが課題」、「技術者不足の中、高齢者でも適材適所で技術を活用できる工夫をしたい」といった声も出た。
 国土強靱化施策による工事量の増加が、全体的な経営安定にはつながっている。その上で、地域単位の課題を指摘する回答もみられた。