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日刊建設タイムズ社
2024/01/29

【千葉】一宮川モデル構築へ/全ての対策洗い出し検討/一宮川流域災害検証会議

 県県土整備部は、令和5年台風第13号の接近に伴う一宮川流域の災害を検証する会議の第3回を、26日に県庁中庁舎4階県土整備部会議室を本部としてウェブ会議形式で開いた。第2回で寄せられた意見を踏まえ、浸水に関する情報収集や、浸水対策メニューの検討の状況について報告。座長の加藤孝明・東京大学生産技術研究所教授は「地形的な条件によってリスクが高いとされるところでは、氾濫を防ぐ・減らすための対策と被害対象を減らすための対策に加え、被害軽減・早期復旧対策が非常に重要。全国に先駆けた、新たな発想の『一宮川モデル』の対策を考えられると良い」との考えを示した。
 浸水対策メニューの検討においては、一宮川で検討されてきた対策のほか、国土交通省の「流域治水施策集水害対策編_Ver2・0」および「流域治水優良事例集」に記載されている全ての対策メニューを洗い出した。
 さらに、全国における対策事例として▽河道掘削、築堤、引堤、護岸法立て、ダム、遊水地=旭橋下流護岸法立て、一宮川第二調節池の増設▽雨水貯留浸透施設(調整池・公共施設)=江の川水系馬洗川(広島県三次市)▽同(民間施設)=境川水系境川(東急電鉄)▽地下貯留施設=奈良県平成緊急内水対策事業(奈良県田原本町)▽雨水貯留管=石塚貯留管築造工事(福島県郡山市)▽雨水貯留・放流施設=いろは呑龍トンネル(京都府)▽放水路・分水路=小野川放水路▽二線堤=宮城県大崎市鹿島台地域――などを挙げた。
 これを受け、加藤教授は「事例を参考にしながら、流域の個性を生かした対策を検討してほしい」と話した。
 会議の名称は「一宮川流域における令和5年台風第13号による災害検証会議」。委員は、加藤教授のほか、二瓶泰雄・東京理科大学創域理工学部教授、服部敦・土木研究所河道保全研究グループ長。オブザーバーは、江森史麻子弁護士と橋一弥弁護士。
 会議では、今回の水害の事象把握やシミュレーションモデルを用いたケーススタディなどを踏まえ、浸水メカニズムを検証し、一宮川流域における今後の浸水対策のあり方を取りまとめる。
 さらに、一宮川流域の特性、対策の費用対効果、対策の実現性などを踏まえ、浸水対策のあり方を検討するため、全国的に行われている浸水対策メニューについて事例紹介し、情報共有を図る。
 第2回は2023年12月28日に開催した。また、1月12日には一宮川の現状を確認し、河川および背後地の特性について委員間で共有を図るため、仮締め切り堤防高さ不足箇所と八千代橋付近の現地視察を実施した。
 今回の会議の冒頭、池口正晃・県土整備部長は「シミュレーションモデルの構築に時間を要している状況だが、着実に検討を進めていきたい」と述べ、忌憚(きたん)の無い意見を求めた。k_times_comをフォローしましょう
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