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建通新聞社
2024/02/22

【大阪】大阪市 水道分野のDX促進で戦略案策定 

 大阪市は、デジタル技術などの活用を通じた水道事業の変革を目指し、大阪市水道DX戦略(案)を策定した。この中で、業務能率の向上を目的とした「土木構造物の設計業務へのBIM/CIMの導入」や、職員の移動時間の短縮などを目的とした「工事監理の遠隔臨場」などの取り組みを盛り込んだ。
 「製造・供給」「サービス」「業務運営」の三つの視点で水道DXを推進する。
 土木構造物の設計業務にBIM/CIMを導入するための情報収集や課題整理を行い、小規模な土木構造物工事で30年度末までに少なくとも1現場で試行する。
 施工監理での遠隔臨場も同じく、30年度末までに少なくとも1現場で試行。ウエアラブルカメラや画像認識を用いた水道施設の巡視点検も30年度から試行を始める。
 また、各管理における知識・ノウハウと技能を次世代の職員に継承するため、過去の異常発生時対応のデータベース化や、VR機能を活用した異常発生時を疑似体験できるシステムの開発を進める。

■情報処理の高度化 業務能率の向上へ

 この他、業務運営の分野では、作業の省力化・業務能率の向上、着実な技術継承などに取り組む。具体的には、工事設計業務における実勢価格に応じた金額の積算を行う工事等積算システムを改修し、自動化が可能なものを28年度末までに整理。30年度から自動化を実施する。
 製造・供給の分野では、水質・水圧の異常時の対応プロセスを自動化。既存の監視制御システムの機能を拡充させて各浄水場の運転管理に導入(2031年度から順次)するための準備を進める。
 水道施設の劣化予兆診断の高度化にも取り組む。鉄筋コンクリート製の土木構造物や建築物、水管橋、機械・電気設備、埋設管路について、目視困難箇所の状況確認、確認した状況を踏まえた劣化度の判断などに、デジタル技術を最大限に活用。技術の検証や評価を行い、事業への導入の可否を判断する。
 また、保安警備の高度化に向け、施設入構者の移動履歴の管理を26年度から導入し、入構者をリアルタイムで追尾できるシステムの導入可否を30年度末までに検討する。
 水道水の配水過程での、残留塩素濃度管理の高度化にも取り組む。その一つとして、配水エリアの各監視地点でリアルタイムで取得している水道水の残留塩素濃度や水質データを基に、各浄・配水場の薬品注入量の制御を自動的に行うシステムの導入を検討する。
 市は、2040年に目指す姿を目標とする戦略案とは別に、計画期間を3〜4年とする「水道DX戦略アクションプラン」を別途取りまとめる予定。