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日刊建設タイムズ社
2024/03/01

【千葉】「年度末が1年制す」/労災防止強調月間スタート/建災防が主唱/店社と作業所、緊密な連携

 建設業労働災害防止協会の主唱による「2023度建設業年度末労働災害防止強調月間」が1日、全国各地で始まった。様々な工事が輻輳し、完工時期を迎える工事も多いことから、労働災害の多発が危惧される年度末。この時期の建設現場の安全衛生管理を徹底するため、経営トップをはじめ現場の管理監督者らが一層の安全衛生水準の向上を目指し、店社と作業所との緊密な連携のもとで一体となり、労働災害防止活動を強化するもの。「年度末が1年を制す」。年別にみると「年初の時期」にあたる年度末は、統計的にその年の労働災害の傾向を占ううえで、大きなポイントを占めると言われる。県内建設業における死亡災害は、2017年、18年と2年連続で当時、過去最少タイの10件を記録した後、19年と20年の2年連続で13件の高止まりの様相を呈した。一転して21年には、5件という「念願の一桁」を達成。22年は3件増加して8件となったものの、かろうじて一桁をキープしたが、23年では再び、5年前の10件に戻った。建災防千葉県支部では、改めて過去最少の5件以下を目指すとともに、さらに一歩進めた「死亡災害の撲滅」に向けて、より一層の取り組みの強化を図る構えだ。

 「墜落・転落災害」根絶へ
 建設業年度末労働災害防止強調月間に際し、建災防千葉県支部としての「現状認識と対応」について、前田泰弘支部長が言及した。
              ◇
 県内の建設業における最近の死亡災害は、依然として墜落・転落災害によるものが多数を占めている。過去5年間の死亡災害49件のうち、主な事故の型の内訳を見ると「墜落・転落」23件(46・9%)、「崩壊・倒壊」5件(10・2%)、「飛来・落下」4件(8・2%)、「熱中症」4件(8・2%)、「転倒」3件(6・1%)、「交通事故」3件(6・1%)となっており、「墜落・転落」が突出していることが分かる。
 建設業では、墜落・転落災害、建設機械・クレーン等災害、崩壊・倒壊災害が死亡・重篤災害に結び付く「3大災害」とされている。県内の建設業における死亡災害の減少を図るためには、何よりも「墜落・転落災害の撲滅」を目指すことが肝要であります。
 建災防本部では、特に、完工時期を迎え工事が増加し、様々な作業が輻輳することから、労働災害発生リスクの高まりが懸念される年度末を「労働災害防止強化月間」として位置づけ、会員の取り組みを強化することとしている。
 強化月間実施要領では、墜落・転落災害防止の取り組み事項として、次のような事項を挙げている。
 
 建災防本部が定めた重点事項
 
 〇設計・計画段階において、高所作業が不要となる工法の採用など危険有害要因を根本から除去する対策、手すりの設置などの設備面の工学的対策、現場ルールの設定・遵守等管理的対策、保護具による対策を順次検討するとともに、フェールセーフ思想に基づいた完全対策の実施
 〇高所作業における作業床、手すり等の設置、その設置が困難な場合は、安全ネットや安全帯取付設備設置の徹底・確認
 〇使用状況に合わせた適切な安全帯の選定・使用前点検の実施と確実な使用、併せて二丁掛け安全帯の使用訓練の実施
 〇足場等の「より安全な措置」として、法定の措置に加え、わく組み足場の上さん、わく組み足場以外の幅木等の設置
 〇足場の組立て等においては、「手すり先行工法」や十分な安全対策を盛り込んだ「大組、大払工法」等の採用、並びに作業主任者、作業指揮者による作業手順の周知徹底及び作業状況の確認
 〇足場の点検を行う場合には、各通達等で示されている点検に必要な十分な知識・経験を有する者の中から点検者をあらかじめ指名し、指名された点検者による確実な点検の実施と点検者の氏名を含む点検記録の保存
 〇開口部や作業床の端には、手すり・中さん等の設置及び注意喚起の表示の推進
 〇幅が1m以上の箇所において足場を使用するときは、原則、本足場の使用の順守(幅が1m未満であっても可能な限り本足場を使用)
 これらの本部から示された墜落・転落災害防止対策は、建設現場にとってはどれも重要な事項で、そのほとんどは、これまで行政当局をはじめ、各方面から繰り返し指摘されてきた事項である。
 支部会員が施工するすべての工事現場で、これらの災害防止対策が確実に実行されるためには、事業主、現場管理者等による各現場での確認作業が不可欠である。
 建災防千葉県支部としては、千葉労働局並びに県下各労働基準監督署の指導をいただきながら、支部と分会が力を合わせ、こうした確認作業が励行されるよう、会員に働きかけていくこととしている。
 災害の多発傾向のある年度末を無災害で乗り切るためには、関係者一同、覚悟を新たに取り組む必要を痛感している。
 
 不変の最重要課題
 
 昨年4月から「第14次労働災害防止5か年計画」がスタートした。建設業における死亡災害減少の目標は13次防と同じく、計画スタート前年の死亡災害件数から15%の減少を図ることが目標となっている。スタート前年の令和4年の発生件数は8件なので、目標達成には「6件以下」にしなければならない。
 本来、死亡災害はあってはならないものである。6件以下と言わず「死亡災害の撲滅」に向けて、より一層の取り組みの強化を図って行く必要があると考えている。
 昨年の10件の死亡災害のうち4件が墜落・転落災害であることから、やはり何としても「墜落・転落災害の撲滅」が最重要課題であると言える。k_times_comをフォローしましょう
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