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建通新聞社(静岡)
2024/03/06

【静岡】労働基準法33条の届出 出動要請、指示書を添付

 静岡県は、時間外労働の罰則付き上限規制を超える恐れのある災害復旧や道路の小規模修繕について、県発注工事で労働基準法の特例(第33条第1項)を活用する際の対応を整理した。県が災害対応を要請した際には、出動要請書を受注者に速やかに発行し、労働基準監督署への届出に添付してもらう。道路の小規模修繕業務では、指示書と完了届を届出に添付できるよう、様式を見直した。
 労働基準法第33条第1項(災害時の時間外労働等)では、災害発生などの緊急事態に限り、三六協定の限度を超えて時間外労働・休日労働させることを認めている。この特例の適用には、労働基準監督署に事前の許可を受けるか、事後に届出を提出する必要がある。
 時間外労働の上限規制によって、インフラやライフラインの復旧が滞ることを回避するための特例で、夜間作業を伴う鉄道会社などで利用するケースが多いという。ただ、建設業は上限規制の適用を除外されており、これまではこの特例を活用する必要がなかった。
 4月1日から上限規制が適用されると、災害発生後の応急復旧が長期間にわたった場合、復旧作業に従事した労働者が時間外労働の上限を超えてしまう恐れがある。
 県は、災害時にこうした事態を招かないよう、出動を要請した企業に速やかに出動要請書を送付。各企業が労基署に届け出る際、出動要請書によって応急復旧に従事したことを証明してもらう。
 一方、この特例の許可基準には、災害復旧だけでなく「道路交通の早期復旧のための対応」も盛り込まれている。道路の小規模修繕業務には、倒木・落下物の撤去や道路陥没の修繕といった緊急性の高い業務が含まれ、夜間作業によって時間外労働の上限規制を超える可能性もある。
 道路の小規模修繕業務も特例の対象となり得るため、県は道路の小規模修繕委託の業務指示書と業務完了届の様式を改正。指示書に緊急作業の有無と理由、業務完了届に労働時間などを記載できるようにし、労基署への届出の際に添付できるようにした。指示書などを添付すると、労基署は業務の緊急性を判断しやすくなるため、許可が認められやすくなる。
 労働基準法には、災害復旧に従事する建設業に上限規制が適用されることに合わせ、復旧・復興事業に従事した労働者の時間外労働・休日労働の規制を適用しない特例(第139条第1項)も新設される。
 ただ、この特例で適用が猶予されるのは三六協定で定める範囲内に限られる。具体的には、時間外労働と休日労働の合計を「単月100時間未満」「複数月平均80時間以内」の適用は猶予されるが、特別条項を結んでも突破できない「月45時間を超える月は年6回」「年720時間」の上限は適用される。