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建設経済新聞社
2024/03/07

【京都】旧九条山浄水場跡の高級旅館計画 延1万7475u、34室収容 美観風致審景観委で事前協議

 令和5年度京都市美観風致審議会景観専門小委員会が5日開催。事前協議の(仮称)旧九条山浄水場跡地宿泊施設計画について審議した。
 京都市上下水道局が旧九条山浄水場跡地の活用事業者として葛ュ羅花壇(本社・東京都港区)を選定。同社が同跡地等を高級旅館として再整備する計画。
 強羅花壇は、旧九条山浄水場跡地とその隣接地を購入するため、旧九条山浄水場跡地活用特定目的会社を設立。市上下水道局と令和4年2月22日に契約を締結した。契約金額は19億1417万6271円で内訳は公募対象地の山科区日ノ岡夷谷町17−66、山科区日ノ岡一切経谷町32、東山区三条通白川橋東入9丁目東小物座町附属722、724、724−1、東山区三条通白川橋東入十丁目東小物座町附属725−2ほかの敷地1万1139・46uが15億円、隣接地の山科区日ノ岡夷谷町17−221ほかの敷地3075・81uが4億1417万6271円。
 用途地域は第二種住居地域で、風致地区第2種地域(建ぺい率30%、容積率30%、高さ10m以下)。南禅寺からの近景デザイン保全区域、船岡山公園からの大文字の遠景デザイン保全区域に該当する。
 計画によると、府道四ノ宮四ツ塚線(三条通)沿いの敷地1万3752・97u(建築面積3950u)を開発し、RC造地下3階地上6階(階の設定は諸官庁と協議中)、延1万7475uの宿泊施設を建設する。客室内は畳敷きの旅館タイプとし、100u超のゆったりとした客室を34室収容。プール、ジム、スパゾーンを備えた滞在型施設となる。庭園と調和した和の外観デザインをコンセプトとする。
 旧九条山浄水場関連施設は全て解体。2つの沈殿池、着水井を同じ位置に同じ大きさで再構築し、旅館の一部として活用する。沈殿池1はレセプションロビー(琵琶湖疏水の関連施設である旧御所水道の歴史を体験できる場)、沈殿池2はプール(明治期の煉瓦を眺めながらリラックスできる場)、着水井はアクセス路(エレベーターホールと展望テラス)とする。解体では明治期の煉瓦を撤去・保存し、現行の耐震基準に適応する躯体に取り付けて再利用する計画。
 宿泊施設棟としてA・B・C・D・E棟の5棟、設備等を収容するF棟を建設する。A棟(建築面積600u/9室収容)、B棟(建築面積800u/4室収容)、C棟(建築面積750u/6室収容)、D棟(建築面積300u/2室収容)、E棟(建築面積1200u/13室収容)、F棟(建築面積300u)。D棟とE棟には太陽光パネルを設置する。
 三条通に面した擁壁状のエントランスから、上部にかけて5層の半地下状の客室部分となるA棟を配置。A棟の南東側にB棟、レセプションロビー棟、プール棟を配置、レセプションロビー棟等を囲むように時計回りにC棟、D棟、E棟及びF棟を配置する。
 三条通側は、擁壁状の外壁を持つ半地下の建築物が5段積み重なる形状とし、それぞれの屋上に1m程度の土壌を組み込み、5m以上に育つ樹木を植樹する計画。
 北側の旧御所水道ポンプ室(有形文化財)に接する敷地に立つ10m以上の高木は残置する。
 森と庭づくり計画では、目隠しのための常緑、山の尾根を構成する大高木、四季を彩る花木、低木、苗木など樹木の特性を生かした多様な樹種を決め、細かくその空間に合った形で自然配植することにより、生物多様性を目指した森づくりを目指す。敷地の立地特性に合った樹種を選び、急斜面地で成長可能な適切な大きさの樹木を植えることで根茎の健全な育成を促進させ、森林災害の起こりにくい森づくりを目指す。
 美観風致審議会景観専門小委では、片岡製作所本社・研究開発センター新築計画(S造7階建(高さ30・95m(塔屋を含む高さ33・72m))、延6569・40u(建築面積1511・05u)の事務所)[諮問]を審議したほか、湯川秀樹旧宅改築計画の変更内容(屋根、外壁等)について報告した。