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北陸工業新聞社
2024/03/19

【石川】インタビュー/地域の声聞いて迅速な復旧を/被災自治体に寄り添って/北陸地方整備局能登復興事務所長/杉本敦氏

 能登半島地震からの復旧復興の前線基地となる国土交通省北陸地方整備局「能登復興事務所」の所長に就いた杉本敦氏(53)。能越自動車道の直轄区間や権限代行制度が適用される国道249号などの復旧事業を担う。今後の展開を聞いた。
 ―2月16日、金沢河川国道事務所能登国道維持出張所(七尾市)に能登復興事務所が開設され、1カ月余りが経過した。
 開所式では県の馳浩知事や被災自治体の首長、国会議員の方からメッセージが寄せられ、期待の大きさを感じた。現在は現場の状況を見て回ったり、自治体の話を聞いたりしている。事務所は16人の職員でスタートしたが、新年度からは50人規模の態勢になる。しっかりと今後の工事発注ができるようにしていきたい。
 ―能越道や権限代行で取り組む国道249号沿岸部、宝立正院海岸、土砂崩れで川がせき止められた「土砂ダム」が生じた河原田川、町野川流域の砂防、国道249号の地滑り対策など、事業は多岐にわたる。
 1カ所1カ所が難しい現場。技術検討委員会の専門家のアドバイスや技術的知見を参考にして、どの対策がふさわしいのか検討しながら取り組んでいく。復旧のスピード感も大事だが、「こうだよ」と地域への押し付けにならないように、皆さんの声を聞きながらやっていくことが最終的に迅速な工事につながると思っている。
 川や砂防は道路のように見えない場所が多いが、地域住民の生活を守る根幹の部分になる。これからの梅雨や台風時期までに、どのような応急復旧をどこまでできるかが重要になる。やらなくてはいけない対策をしっかり講じていきたい。
 ―被害を受けた能越道について。
 輪島市街地へアクセスする輪島道路2期区間、七尾氷見道路と接続する田鶴浜七尾道路については、予算は改築で今回の災害とは異なるが、全線がつながることが真の復興になると思っている。現地をしっかりと確認した上で設計を見直し、発注していく。復旧と同時に取り組んでいきたい。
 ―4月からは本格復旧へ向けた計画が具体化していくことになる。
 復旧復興に大切な事業を託されている。皆さんの声を聞いたり、丁寧に説明したりして、目標や計画が少しでも地域に見えるように進めていきたい。さらに、被災自治体では技術者が少ないこともあり、自前でやるにしても迷うことがあると感じている。相談に乗ったり技術的に支援したりと、しっかり寄り添っていきたい。

 すぎもと・あつし 1970年生まれ、かほく市出身。金沢工業大工学部卒業後、92年国土交通省入省。同省道路局国道・技術課道路メンテナンス企画室課長補佐を経て現職。

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