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建設経済新聞社
2024/03/27

【京都】いろは呑龍トンネルを再評価 全体事業費約45億円増の見通し

 京都府は26日、流域下水道事業経営審議会第4回投資部会を開き、桂川右岸流域下水道事業(雨水対策事業)(いろは呑龍トンネル)を再評価した。
 大雨時の水を一時的に貯留する地下トンネルや呑龍ポンプ場などを整備する、いろは呑龍トンネル事業の事業箇所(区域)は京都市、向日市、長岡京市の一部。
 シールドトンネルの全体延長は約9・0qで、雨水北幹線(内径φ3・0〜8・5m)4919m、雨水南幹線(内径φ3・5m)4068m。呑龍ポンプ場、ポンプ(5m3/s)3基、調整池。
 平成7年度に事業着手。平成8年度に工事着手し、平成13年に北幹線1号(φ8・5m、L935m)が供用、平成23年に北幹線2号(φ3・0m、L2864m)、3号(φ6・2m、L1120m)が供用。北幹線1〜3号の対策量は10万7000m3。
 平成3年度に南幹線・呑龍ポンプ場が供用。南幹線の対策量は6万3250m3。呑龍ポンプ場の対策量は4万8450m3。
 令和5年度に調整池供用(予定)で、その後、9年度の完成を予定。
 全体事業費は、前回(令和2年度)評価時490億円から45億円増の535億円となる見通し。
 増減の内訳は、@労務・資機材単価等の上昇34億円増A接続施設の位置変更に伴う変更(▽管渠延長の変更▽掘削工法の変更▽管渠径の変更)[五間堀川−1]17億円増と、B接続施設の位置変更に伴う管渠延長及び立坑径の変更[五間堀川−4]6億円減。
 変更の主な内容をみると、公共下水道接続施設の位置等の変更(約6億円増)は「当初は南幹線付近に接続施設を設置予定だったが、用地交渉が難航し、見通しが立たないため、南幹線から離れた箇所に立坑築造位置を変更し、管渠延長を変更」(当初延長3・6m→変更後212・5m)[五間堀川−1]。
 施設位置等の変更に伴う掘削工法等の見直し(約14億円増)は「当初は経済性に優れた推進工法で進める予定だったが、立坑(特殊人孔)施工場所の民地買収が不可能なため、立坑から南幹線までの管渠を官地内に収まるように急曲線施工が可能なシールド工法に変更」[五間堀川−1]。
 施設位置等の変更に伴う接続管渠径の見直し(約3億円減)は「管渠延長が長くなったことで、勾配調整が可能となったため、接続管渠の勾配を急にし、流速を上げる計画(基準値以内の流速)とすることで管渠径を縮小するもの」(当初管径φ2200o→変更後φ2000o)[五間堀川−1]。
 公共下水道接続施設の位置等の変更(約6億円減)は「当初は南幹線より少し離れた箇所に接続施設を設置する予定だったが、用地交渉が難航し、見通しが立たないため、構造の工夫も行い、道路管理者(長岡京市)の協力も得られたことから、市道内での施工に計画を見直し、南幹線近接に立坑築造位置を変更し、管渠延長も変更するもの」(当初延長L255・9m→変更後L4・0m、当初の立坑径φ3500o→変更後φ2500o)[五間堀川−4]。
 このほか懸念されるリスクとして、管渠発進時における薬液追加注入で約2億円増を挙げた。
 砂礫層等でシールド又は推進工法を実施する場合、推進機等を発進させる際に、地山が不安定で切羽が自立せず、切羽崩壊、地表面陥没を防止する目的で、補助工法(薬液注入工)により地山の安定を図っている。
 令和元年の和井川接続施設管渠工事において、想定の土質と異なり、より広範囲に薬液注入工が必要となり、増額(約6000万円の追加)となった。
 残る3ヵ所の接続施設も砂礫層でのシールド又は推進工法であるため、同様の可能性が懸念される(薬液注入の追加は1ヵ所当たり約6000万円、工事箇所は3ヵ所で、6000万円×3ヵ所の計1億8000万円(概ね2億円程度)を見込む)。
 増額分を考慮しても費用便益費(B/C)は1・18と試算し、効率性は確保しているとした。
 B/Cは、前回(令和2年度)がB1453億円、C1104億円の1・32。今回はB1703億円、C1435億円の1・19と試算。残事業はB392億円、C55億円の7・16と試算した。
 事業進捗の見込みによると、前小川は「候補地を変更し、令和5年度に用地を買収し、6年度早々に工事に着手する」、五間堀川−1は「候補地を変更し、概ね順調に用地交渉を進めている」、五間堀川−4は「用地買収が不要となる箇所に候補地を変更し、詳細設計を実施している」。
 コスト削減としては、他事業との残土の有効活用によるコスト削減を図るとした。
 今後、工事及び用地買収に着手することとしているが、事業進捗の阻害要因も見当たらず、早期完成に向けて引き続き事業進捗を図るとし、府は「総合評価として引き続き事業を継続する」とする対応案を示した。