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北陸工業新聞社
2024/03/29

【石川】能越、里山道=盛り土補強/249号沿岸部=海側に新設/道路復旧へ施工方針/整備局検討委で了承

 能登半島地震を受け、能越自動車道やのと里山海道、国道249号の道路の早期復旧に向けた技術検討委員会は27日、北陸地方整備局金沢河川国道事務所で第2回会合を開き、同局が示した施工方針を了承した。大規模崩壊が28カ所発生した能越道では盛り土補強の対策を講じる。地滑りで通行不能となった国道249号沿岸部の3地区は海側に道路を新設できるかを検討する。
 能越道と里山海道では計178カ所の被害が確認された。このうち大規模崩壊の発生箇所では2007年能登半島地震の対策と同様に、盛り土による補強を実施し、改良した現地発生土や良質材の活用などを検討する。盛り土内部の排水機能の強化も図る。道路用地を最大限に利用する。
 背面アプローチ部が損傷した能登大橋は橋台の設置や基礎形式を選定する。徳田大津ジャンクション―のと里山空港インターチェンジ間は現在、輪島方面への一方通行のみとなっており、早期の対面2車線の確保を目指し応急復旧に取り組む。
 国道249号沿岸部で輪島市の千枚田、大川浜両地区と珠洲市の逢坂(ほうさか)トンネル付近では大規模な地滑りや斜面崩壊が発生。既存道路の利用が難しいため、隆起した海岸地盤を活用して盛り土した道路を新設する方法を検討する。千枚田地区では先行して4メートル幅の1車線を早期に確保した後、さらに海側に造成し2車線目を整備する。
 大川浜地区と逢坂トンネル付近は、前後区間に高低差のある岬があるため、隆起した地盤に盛り土による造成と仮桟橋設置を合わせた復旧方法について技術的な可能性を検討する。
 国道249号の内陸側に位置し、通行止めとなっている中屋トンネル(輪島市)では、内部に車両を保護するプロテクターを設置し、1車線を確保。大谷トンネル(珠洲市)は地滑りにより内部断面が変形している可能性があるため、詳細な地質調査やモニタリング計測を実施し、復旧方法を検討する。
 会合は非公開で行われ、委員から「応急復旧、本復旧を進めていく中で、手戻りがないよう検討を進めてほしい」「能登半島は国定公園でもあり、関係省庁との調整が必要な自然環境などの事項は早めの対応をお願いしたい」といった意見が出た。会議後に会見した川村國夫委員長(金沢工業大特任教授)は、国道249号沿岸部の整備では漁業関係者らとの協議も必要になるとの認識を示した。
 権限代行制度により復旧を進める北陸地方整備局は今後、ワーキンググループを設置し、分野ごとに技術的な個別課題を検討する。

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