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北陸工業新聞社
2024/04/02

【石川】被災地に寄り添い支援/能登復興建築人会議が会見/水野会長「3団体一緒に」

 能登半島地震における県内被災地を対象に「建築およびまちづくり」に関する復興情報を共有するプラットホーム「能登復興建築人会議」が設立され、3月31日に金沢商工会議所で記者会見を行い、被災地に最も近い建築設計の専門家集団として、被災者にしっかり寄り添い、復興を支援していくことを表明した。
 幹事団体は、公益社団法人日本建築家協会(JIA)北陸支部石川地域会、一般社団法人石川県建築士事務所協会、一般社団法人石川県建築設計監理協会の3団体。はじめに会長の水野一郎金沢工大教授は「地震発生から丸3カ月を経過したが、被災地では生業の復活には至っていない。復興に対して、国内外から支援が寄せられているが、インフラの復旧など様々な課題が山積している。建築人会議は、建築設計に携わる3つの団体が一緒になって立ち上げた。居住をはじめ、生業や経済活動のための空間、教育や医療、福祉などのあらゆる施設、空間を復興していくのが我々の分野」と述べた。
 さらに「2007年の震災時、JIAを中心に応急危険度判定から住宅・まちづくり、復興公営住宅の相談を受け、提言してきた。恐らく日本で初めての瓦屋根の在来木造の復興公営住宅を実現した。その後、東日本大震災、熊本地震でもその復興住宅が主役になっており、我々の成果が引き継がれている」と強調し、「建築人会議では被災者に寄り添って、短期、中長期を含めて、ずっと見つめていく組織であり、これまでも能登に関わり、これからもしっかり関わっていくプラットホームをつくった。土木や造園、まちづくりなど、いろんな団体、施工部門とも連携したい。まだスタートしたばかりだが、応援して欲しい」と趣旨を説明した。
 次に副会長5氏が順にマイクを握り、小林正澄県建築士事務所協会長が「今回の地震では建物崩壊が多く、東日本大震災や熊本地震から復興には5年、10年のスパンになるだろう。当会は325社の会員がおり、応援したい。窓口を一体化するということで建築人会議に参加した」、中村賢一県建築設計監理協会長は「我々は小さな団体だが、設計活動を通して能登の復興に協力していきたい」、浦淳JIA北陸支部監事は「建築人会議では応急的な対応から長期的な居住、生業、復興まちづくりまでを範囲とし、対外的にできるだけ情報を共有していきたい」と語った。
 学術代表の竹内申一JIA石川地域会副会長(金沢工大教授)は「学術的な知見、様々な構造計画といった分野のこれまで蓄積されてきた知見の集約と学生たちの若い力を復興支援に役立てていきたい」、東日本大震災の復興にも関わった小津誠一氏(県建事協会員)は「(復興における)様々な空間の支援、サポートを行い、まちづくりに協力していきたい」と述べた。
 同会議アドバイザーで能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボード委員の小野田泰明東北大教授は「東日本大震災で国や県と連携しながら、13年余り、復興の最前線で汗をかいてきた。今回、皆さんが手をつなぐことは素晴らしい。生まれ故郷である石川の役に立ちたい」と語った。
 事業範囲は▽応急仮設住宅計画▽復興公営住宅計画▽被災建築修復計画▽建築文化財修復▽復興まちづくり計画▽地域コミュニティ形成▽生活環境改善などへの支援▽建築・まちづくりの意思決定支援▽建築の復興活動情報共有―。
 4月28日に金沢21世紀美術館で記念フォーラムを開催し、シンポジウムやパネルディスカッションを行う。
 連携団体は、日本建築学会北陸支部、石川県木造住宅協会、県建設業協会、県建設コンサルタンツ協会など。

hokuriku