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日本工業経済新聞社(群馬)
2024/04/08

【群馬】小川市長インタビュー

2月の市長選挙で新たに前橋市長へ就任した小川晶氏。千代田町の中心市街地再開発事業など、重要なプロジェクトをしっかりと続けていきながら、市民の目線を欠かさずに市政を運営していきたいと意気込む。変化する建設産業の環境に対しては、発注者の責務として労働環境の整備に取り組むとし、週休2日制現場の導入、建設キャリアアップシステム(CCUS)、IoT、ICTにも積極的に取り組む方針を示した。
−就任しての意気込み
小川 就任して、市長としての責任の重さを実感している。市民の暮らしや命を預かっているということで、毎日の決断に重いものがあると感じている。期待している市民のためにも、市民の目線で市政を運営し、掲げた公約を形にできるよう取り組んでいきたい。
また、前橋市にとって大事なプロジェクトはしっかりと受け継いで進めていくと同時に、皆で前橋市のまちづくりを進めていきたい。そのためにも気軽に参加できるタウンミーティングの仕組みづくりも進めたいと考えている。
全体をみると財政面で非常に厳しいところもある。優先順位をつけ、充実させる部分と見直す部分を見極めてやっていかなければならないが、市役所だけで決めるのではなく、市民の意見を聞きながら進めていきたい。
−これから取り組みたい公共事業は
小川 市民の生命を守り、安心・安全のため老朽化したインフラの更新に向けた取り組みを進めたい。
5年に1回の定期点検が義務化された市の管理橋梁は約1300橋ある。劣化するごとに修繕を行う事後保全を行っているが、いずれ架け替えが必要となる。今後、毎年5億円程度の事業費が必要となることから、総合的にマネジメントを行い、事業費の平準化とコスト縮減を目指す。
ユニバーサルデザインによる人にやさしいまちづくりも取り組みたい事業。特に通学路の安全確保に努めたい。交通安全対策としては、東小学校地区と下川町地区で最高速度30q/hの区域規制と物理的デバイスを組み合わせた、県内初となるゾーン30プラスに認定されており、整備を進めていきたい。
また、緊急車両が入れない狭い道路の改善のため、生活道路における人優先の安心・安全な通行空間の整備の促進も行いたい。
公園緑地整備は、前橋総合運動公園や荻窪公園の公園整備を継続していく。さらに、さまざまな利用者や子どもたち、保護者の方々が安心して利用することができるよう「インクルーシブな公園施設」の導入についても積極的に検討していく。
歴史まちづくり推進事業もこれから進めていきたい事業の一つ。前橋市歴史的風致維持向上計画に基づき、23〜32年度の期間で、厩橋地区と総社地区を中心にしてさまざまな事業を展開していく。具体的な事業として大手門の可視化、養蚕集落の保全、道路の美装化、前橋公園内の歴史的拠点の整備など全20事業あり、前橋らしい歴史情緒ある街並み整備をはじめ、市民や子供達への歴史教育にも生かしたい。
−交通ネットワークの充実について
小川 交通ネットワークの充実は前橋市の重要な課題だと考えている。幹線道路の整備は、広域連携の促進による産業発展、観光振興などの地域振興だけでなく、緊急輸送など防災機能強化のためにも道路ネットワークの構築が必要となる。そのためにも、現在進めている事業の整備を継続していく。
また、国に対しては前橋笠懸道路整備促進や国道17号上武道路の早期4車線化、県に対しては県土整備プランのもと、主要地方道前橋玉村線や主要地方道前橋赤城線の緊急安全対策と現道拡幅整備を求めていきたい。
さらに、本町二丁目の五差路交差点の整備事業は長年にわたる懸案の事業だが、国の直轄事業としての交差点改良にとどまらず、まちづくりの観点から歩行者や公共交通を十分に考慮した整備により、多くの課題解消と中心市街地の活性化につなげたい。
−千代田町中心拠点地区の市街地再開発事業について
小川 千代田町中心拠点地区の再開発事業は、図書館やオフィス、スズランの西街区、学校とマンションの東街区に分かれ、組合施行として計画が進められている。
中心市街地で見ると、現在も民間主導によるさまざまな事業が展開されており、まちが変化してきていることを感じている。
その中でこの再開発事業は、今後の中心市街地のにぎわいの核となる重要な施設だと考えている。市としても認可権者として、補助金により支援する立場として、さらに地権者として一組合員の役割があることから、引き続き事業が円滑に進められるよう取り組んでいきたい。
−建設産業に対する考え方
小川 4月の働き方改革関連法の施行により、建設産業の労働環境は大きく変わることになると思う。
発注者の責務として、担い手の確保や働き方改革の促進が図れるよう、適切な工期の設定や工期末の分散に努め、週休2日の定着を支援する「週休2日制現場」の導入を予定している。
公共工事については、地域経済および地域社会の健全な発展を図るべく、公契約基本条例の理念に則り、引き続き市内事業者の活用に努めていく。そのためにも、労働時間の管理やキャリアアップシステム、IoTやICTの導入の推進を積極的に図っていきたい。
−地元建設産業へのコメントを
小川 豚熱が市内で発生した時には力になっていただいた。それだけでなく除雪作業や緊急の道路修繕など安全・安心で、快適な道路環境の確保に尽力していただいている。
建設業は、生活の基盤となるインフラ整備の担い手であると同時に、地域経済・雇用を支え、地域社会の安全・安心の確保、地域の守り手として社会にとってなくてはならない産業だと考えている。
安心して住み続けられる、誰もが暮らしやすい前橋を実現するには、建設業の皆さま方の協力が不可欠。中心市街地や新前橋駅周辺の再開発、産業団地の整備などこれから本格化する事業が多くあり、連携して取り組んでいきたい。