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建設経済新聞社
2024/04/17

【京都】令和6年度からの綾部市下水道事業経営戦略 施設の最適化、長寿命化など盛る 10年で95億9000万円投入

 綾部市上下水道部は、下水道事業経営戦略を改定。人口減少や施設の老朽化などを踏まえ、施設の最適化、長寿命化などの計画を盛り込んだ。
 計画期間は令和6年度〜令和15年度までの10年間。
 経営戦略では、事業ごとに「施設の見通し」を示した。
 公共下水道の汚泥は「現在、由良川左岸整備がほぼ終了し、令和元年度から由良川右岸整備に着手している。令和5年度に事業計画の変更(期間延伸)を行い、由良川右岸整備を計画的に進める。由良川右岸の管渠整備は令和16年度の完成を目標として行っており、これに伴う綾部浄化センターの増設工事を計画している」「令和4年度に全体計画の見直しを実施し、し尿及び浄化槽等汚泥の公共下水道投入を見込んだ計画とした。汚水処理事業の効率化を図る目的で、し尿等汚水処理効率化事業として、投入・希釈処理施設を新設し、公共下水道への受け入れを行う計画。また府営綾部工業団地の水処理施設として平成2年度に建設された綾部工業団地水処理センターは、老朽化が進んでおり、持続可能な汚水処理事業を目的に、綾部第2浄化センターへ統合して処理を行う計画。上記施設を含む下水道施設については、新たなストックマネジメント計画の策定を予定しており、当該計画に基づき、電気設備や水処理施設を中心に改築・更新工事を行っていく」「管渠については、最も古いもので経過年数は35年であり、計画期間中に大規模な改築更新等は予定していない」。
 公共下水道の雨水は「都市化の進展や多発する集中豪雨に対し、既存施設では雨水を排除しきれないケースが生じてきたことから、近年の降雨状況や地域特性の変化、綾部市街地の浸水状況を踏まえ、浸水の原因究明、段階的な整備計画を立てることを目的に、平成27年度に市街地の『雨水対策基本計画』を策定した。綾部市街地が公共下水道の事業計画区域となったことから、都市下水路事業として取り組んできた雨水対策事業を、公共下水道(雨水)として整備を行うこととし、平成29年度に『綾部都市計画下水道の変更』並びに『綾部市公共下水道事業計画(変更)』を行った」「平成25年9月の台風18号により大規模な浸水被害の発生した延町において、平成28年度には仮設排水ポンプ(毎秒0・1m3)の設置、平成29年度には排水ポンプ車(毎秒0・5m3)の導入を行った。平成30年度から工事に着手した綾部雨水ポンプ場(毎秒1・0m3)は令和3年度に完成した」「今後も雨水対策基本計画に基づき整備を進める計画であり、局所浸水対策事業を予定している」。

し尿等投入・希釈施設を新設
農業集落排水施設は最適化

 農業集落排水施設は「事業は完了しており、管渠については、最も古いもので設置から約30年であるため、計画期間中における大規模な更新工事等は発生しない見込み。処理施設については、電気機械設備を中心に今後老朽化施設が急増することが予想されるので、既存施設の長寿命化、維持管理費を含むライフサイクルコストの低減、予算の最適化、安全性の確保、施設機能の健全化を図るべく、令和6年度から機能診断調査および最適整備構想の策定を行い、その結果を踏まえて維持管理適正化計画を策定し、維持管理費および機能保全対策費のさらなる軽減を図る」。
 合併処理浄化槽は「特定地域生活排水処理地域における水洗化を促進するために、市が設置主体となり合併処理浄化槽の設置整備を行う。毎年度、7人槽(一般住宅)を40基設置する計画」。
 市の組織については、これまで通りの職員数で事業を継続していくとし、組織体制の再編等も予定していない。
 第6次綾部市総合計画後期基本計画に基づく、汚水処理人口普及率85・2%(令和7年度)、水洗化率76・4%(令和7年度)は令和4年度時点で既に達成しているが、京都府内でみると依然として低い水準であるため、早期に▽汚水処理人口普及率(令和4年度現状86・0%→10年度中間目標88・9%→15年度最終目標89・7%)▽水洗化率(令和4年度現状77・4%→10年度中間目標81・4%→15年度最終目標85・4%)の目標が達成できるよう事業の推進を図る。
 計画期間中の長寿命化等の取組として、[水処理施設等の長寿命化対策]で▽(綾部浄化センター水処理施設等の)ストックマネジメント計画(調査・設計・耐震診断)の策定(令和5〜8年度)▽長寿命化対策工事の実施(令和9年度〜)、[雨水対策事業]で▽局所浸水対策工事の実施(令和6〜11年度)、[農業集落排水施設の長寿命化対策]で▽機能診断調査・最適整備構想および維持管理適正化計画の策定、長寿命化対策工事の実施(令和6年度〜)を盛り込んだ。
 中長期的な視点に立った計画的な経営基盤の強化などのため、処理施設の統廃合や処理区域の見直しを検討していく。
 計画期間における事業費総額は95億9000万円(公共82億9000万円、農集4億円、特定9億円)。各年度の建設改良費は、▽令和6年度6億6000万円(公共5億7000万円、農集1000万円、特定8000万円)▽令和7年度6億5000万円(公共5億7000万円、農集0、特定8000万円)▽令和8年度8億8000万円(公共8億円、農集0、特定8000万円)▽令和9年度11億3000万円(公共10億4000万円、農集0、特定9000万円)▽令和10年度15億8000万円(公共14億9000万円、農集0、特定9000万円)▽令和11年度18億8000万円(公共15億2000万円、農集2億7000万円、特定9000万円)▽令和12年度11億8000万円(公共10億2000万円、農集7000万円、特定9000万円)▽令和13年度4億8000万円(公共3億6000万円、農集2000万円、特定1億円)▽令和14年度5億1000万円(公共3億9000万円、農集2000万円、特定1億円)▽令和15年度6億4000万円(公共5億3000万円、農集1000万円、特定1億円)。
 これらの財源については、公共下水道事業は国土交通省、農業集落排水事業は農林水産省、特定地域生活排水処理事業は環境省の補助金でそれぞれ1/2、1/2、1/3程度を見込むほか、企業債の借入、受益者負担金、一般会計補助金での財源確保などを見込む。
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 令和6年度当初予算には、し尿等汚水処理効率化事業費2800万円を新規計上した。
 「衛生公苑の老朽化により、施設の修繕費、維持管理費が増加」「下水道の普及や人口減少等により、くみ取りや浄化槽等により発生する汚泥の量が減少していくことが予測され、汚水処理の一元化による効率化が必要」とし、くみ取りや浄化槽等により発生した汚泥を公共下水道で集約して処理するため、し尿等の投入・希釈施設を整備する。
 投入・希釈施設の新設の事業期間は令和6年度〜令和11年度を予定。令和6年度は、し尿等の投入・希釈施設の基本設計に着手する。