トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北陸工業新聞社
2024/04/19

【石川】久安本部長「持続可能な物流実現へ」/県貨物運送適正化事業評議委/荷主と消費者の意識改革を/2024年問題で協議/Gマーク制度への協力

 「物流の2024年問題で悪質な荷主事業者への対応は大丈夫なのか」「これまでの取引の関係上、仕事を切られるのが心配で交渉に二の足を踏む運送事業者が相当数いる」―。18日にホテル日航金沢で開かれた第35回石川県貨物自動車運送適正化事業実施機関評議委員会。学識経験者や消費者、荷主、労働組合などから選任された委員の質問に、評議委事務局がこのように答えた。
 この日の評議委ではまず、久安常信本部長(県トラック協会長)が「能登半島地震ではトラック協会が被災地への救援物資輸送を行った。災害直後の輸送は道路の損壊、渋滞などで過酷な状況の中、会員事業所の協力で滞りなく届けることができた。ドライバーの強い使命感と業界の社会に果たす役割を再認識した」と述べた上で「4月から物流の2024年問題に直面する転換期に入った。政府は問題解決へ国を挙げて取り組んでいるが、この問題は今年度を乗り切れば終わるものではなく、今後、トラック運送事業者が法令を遵守し、持続可能な物流を実現するためにも適正化機関の役割はこれまで以上に重要」とあいさつした。
 続いて坂井美紀夫委員長が「24年問題で業界がどう対応し、行政がどのように指導しているのか。トラック業界は震災対応でも大変な努力をした。適正な労働時間と賃金を世間に醸成してもらいたい。評議委が業界発展に関与したい」と述べた。
 猿谷克幸石川運輸支局長が能登半島地震の物流支援で「支援物資の一次拠点となった石川県産業展示館4号館と3号館は、発災当初はどこに何があるのか分からない状態だったが、全国・県トラック協会によって効率化され、荷下ろしや荷積みがスムーズになった。感謝したい」と述べ、物流の24年問題には「労働時間が全職業平均より400〜450時間と約2割長く、年間賃金も全産業平均より20〜60万円低い」などが説明されたほか、モーダルシフト・コンテナ大型化の推進といった物流効率化、伝票や外装の平準化、荷主対策の深度化制度創設などを解説した。
 意見交換では委員から「トラック後部にドライバー氏名が表示されていると安心」「荷主とトラック事業者の関係をどう改善していくか」「コンテナ大型化で公的支援は」「外国人労働者の雇用は」などの指摘が出された。
 今年度の適正化実施機関の活動としては、石川運輸支局などと連携し、労基特別巡回指導などに適切に対応するほか、総合評価がD・Eなどの事業者に重点化した指導、適正・円滑な苦情処理、安全性評価制度Gマーク制度への協力を図っていく。

hokuriku