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北陸工業新聞社
2024/04/19

【富山】労働者確保、困難な傾向強まる/第4四半期建設業景況調査/東日本保証富山/来期は資材価格が上昇へ

 東日本建設業保証富山支店は、2023年度第4回「建設業景況調査」の実施結果をまとめた。
 景況調査は、建設企業の景気動向を総合的に迅速かつ的確に把握することを目的に実施しているもの。
 経営動向(地元建設業界の景気、受注、資金繰り、金融、資材、労務、収益の状況)と経営上の問題点について、毎年3、6、9、12月にそれぞれ郵送でアンケート調査を行っている。調査に際しては、同社と取引関係のある建設企業から、地区別と業種別、規模別の分布状況を考慮。経営動向を反映するに足りると認められる企業を対象とし、原則として固定している。
 今回の回答企業数は57社で、項目ごとに1月から3月(第4四半期)の今期実績、4月から6月までの来期見通しを算出した。
 項目別のB・S・I(景況判断指数)値を見ると、「業況等」の地元建設業界の景気は今期、悪い傾向が弱まった。官公庁・民間工事ともに、受注の減少傾向が弱まったことが要因と見られる。来期の景気は、悪い傾向がさらに弱まる見通しであり、景気の先行きに対し、楽観的な回答を寄せる企業が増えている傾向を示した。
 今期の「受注総額」は、前期と概ね同様の基調が続き、官公庁工事と民間工事は、どちらも減少傾向が弱まった。来期の受注総額と官公庁工事、民間工事は、いずれも減少傾向が強まる見込み。
 「資金繰り」は今期、厳しい傾向が続いており、来期はより一層厳しい傾向が強まるもようだ。
 今期の「金融」は、銀行等貸出傾向で容易な傾向が強まり、短期借入金は増加傾向が続いている。来期の銀行等貸出傾向は、今期と同様の傾向が続く見通しであり、短期借入金利は上昇傾向へ転じる見込み。
 また、「資材」は今期、資材の調達で困難な傾向が強まっており、資材価格は上昇傾向が続いている。来期は、資材の調達で困難な傾向が続き、資材価格は上昇傾向が著しく強まる方向。
 今期の「労務」は、建設労働者の確保で困難な傾向が顕著に強まっており、B・S・I値マイナス34・0は、19年6月に記録したマイナス35・5に次ぐ、過去10年間で2番目に厳しい水準となった。賃金についても上昇傾向が続いている。来期は、建設労働者の確保で今期と同様、困難な傾向が続き、賃金は上昇傾向がかなり強まる見込み。
 「収益」は今期、減少傾向が続いている。減少の理由では、『完成工事高の減少』が群を抜いてトップ。『資材価格の上昇』、『人件費の上昇』の順で続き、『発注単価の低下』と『下請代金の上昇』が同率で並んだ。来期の収益は、今期と概ね同様の基調となるもようだ。
 今期の経営上の問題点は、『人手不足』が圧倒的なウエイトで依然最多。以下、『従業員の高齢化』、『資材価格の上昇』、『受注の減少』、『下請けの確保難』、『人件費の上昇』の順であり、前回の調査と比較し、順位の変化は見られなかった。
 なお、自社の業況は今期、悪い傾向がやや弱まっており、来期は悪い傾向がさらに弱まる見通し。

hokuriku