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北陸工業新聞社
2024/04/24

【石川】首長インタビュー/かほく市長/油野和一郎氏/液状化、一歩ずつ着実に復旧/スポーツ核にまちづくり

 3月の任期満了に伴うかほく市長選で、石川県内の現役首長の中で最多となる6選を果たした油野和一郎氏。能登半島地震では市内でも大崎地区の液状化を中心に大きな被害が出た。新任期がスタートし、「地震対応が最重要」と強調する油野氏に、今後の市政運営やまちづくりへの思いを聞いた。

 大崎地区は液状化により家屋の沈下や道路の隆起などが発生した。地盤が横方向に大きくずれ動く「側方流動」が起こっており、「復旧・復興には時間と費用がかかる。大変厳しい状況であることは十分認識している」と口元を引き締める。
 液状化現象は地下水位が比較的高かったことが原因とされる。今後の防止策としては水を抜いて水位を下げる必要があるとされ、地盤改良をどのように行うのかも課題となる。今後の見通しが示されない中「国土交通省の調査を踏まえた上で、地域の皆さんと相談しながら、どのような整備手法が良いのか判断するしかないと思っている」。
 市は2月時点で、地震の復旧事業費に61億円程度を見込んでいた。「今後、液状化対策の予算が上乗せされる」と話し、国や県、関係機関との連携はもちろん、財政支援が必要との認識を示す。今月1日付で産業建設部に災害復興対策室を設置し、県外からの応援職員も配置された。「一歩ずつ着実に復旧を進めていく」と力を込める。
 地震対応に追われる中、河北台健民体育館の老朽化を受け整備された総合体育館が1日開館し、14日には能登半島地震の復興支援を目的としたオープニングイベントが開催された。バレーボール女子日本代表によるチャリティーマッチや被災地区児童を招いたバレーボール教室が行われるなど、大きなにぎわいを見せた。
 「かほく市には観客席を備えた体育館がなかった。一流選手のプレーを見る子どもたちに夢と感動を与えたい」との思いで建設したという。今後、多くの人に利用される施設となり「スポーツを核としたまちづくりや交流人口、関係人口の拡大につなげていければ」と話す。
 「かほくはちょうど石川県の真ん中に位置している。能登の方でも復旧・復興が進めば、県などさまざまな大会が数多く開催できる」と期待を寄せる。
 5期20年の市政運営では、子育て支援や教育環境整備の施策に力を注いできた。昨年度まで9年連続で人口が増加するなど、住みよさを理由にかほく市を選ぶ若い世代は多い。「市民のニーズがどこにあるのかを常に考えながらこれまで取り組んできた。やれることを一つひとつ積み上げてきた成果が今のかほく市の姿」と振り返る。
 選挙公約に掲げた学校給食費無償化については「震災の影響がどれだけあるのかを見極めた上で、次の展開としてやっていく」と話す。
 3月1日には旧3町の合併から20周年を迎え、新たな歩みを始めたかほく市。地震からの復旧・復興が最優先となる中、これまでで最も困難なかじ取りを任された。「行政には地域を活性化させ、住民サービスの向上に努めるという大きな役割がある」と前を見据える。

 旧七塚町長を経て、2004年4月に3町合併で誕生したかほく市長選で初当選。その後4期連続で無投票再選し、20年ぶりの選挙戦となった3月24日の市長選で6選を果たした。74歳。

hokuriku