県県土整備部は4日、第2回首都圏空港道路ネットワーク検討分科会を県庁中庁舎4階県土整備部会議室(オンライン併用)で開催し、空港の機能強化を踏まえた高規格道路ネットワークの基本方針策定に向け、北千葉道路と新湾岸道路の整備により期待される効果などについて整理した。今後は、早期にバス・トラックなど道路利用者団体へのヒアリングを展開。ヒアリングで寄せられた意見などを踏まえて分科会で基本方針の案を作成し、上部組織にあたる千葉県道路協議会において基本方針策定に向けた議論を行う。
県内の高規格道路ネットワークに関する課題として、都心と県湾岸地域を結ぶ高規格道路が京葉道路と東関東自動車道のみであるほか、県北部において東西方向の幹線道路が不足し、北千葉道路の未整備区間周辺の渋滞損失時間が大きいことを挙げた。
災害時に東関東自動車道が通行止めとなった場合、成田空港からの高速道路迂回路は常磐自動車道方面のみで、災害時の円滑な物資の輸送や救急医療活動の妨げとなる。
新湾岸道路と北千葉道路が整備されることにより、ルートの選択肢が増え、特定の区間への交通集中を回避できるとともに、抜け道として利用されていた生活道路が転換し、地域の安全性が向上する。
災害時のリダンダンシーの確保にもつながり、都心から成田空港まで複数の高規格道路で結ぶことにより、安定した人・モノの流れを確保できる。
そのほか、高速道路ネットワークの渋滞状況および交通量、京葉道路の渋滞対策の概要、湾岸地域の渋滞状況、京葉道路インターチェンジ周辺道路の渋滞状況、成田空港発着車両の利用経路、湾岸地域のポテンシャル、想定される大規模災害、房総半島の脆弱性、災害時の成田空港の役割などについて共有を図った。
会長の横田彰洋・県土整備部道路計画課長は、冒頭のあいさつで「新たな交通需要に対応するためには、首都圏空港である成田空港を抱える県として、空港アクセス道路の整備をこれまで以上に加速していく必要がある」との考えを示し、「本日の会議では、空港の機能強化に伴い求められる高規格道路ネットワークのあり方について議論していただきたい」と求めた。
分科会は、県土整備部、関東地方整備局、千葉市、東日本高速道路の道路関係部署の課長級職員などで構成。オブザーバーとして、県総合企画部と成田国際空港が参画している。
協議会の2024年度第1回(8月30日)においては、千葉側(成田)は東京側(羽田)に比べて都心からの高規格道路の経路選択が少なく課題があることから、「成田空港の機能強化に対応し、都内とのアクセスを考慮した広域道路ネットワーク整備の検討が必要」とされた。
これを踏まえ、基本方針を策定することとし、分科会において広域道路ネットワークや周辺地域の交通状況の把握と課題の調査・分析を行い、首都圏空港道路ネットワークの必要性および効果を検討。協議会に検討状況などを報告することとなっている。
なお、協議会は、県土整備部、関東地方整備局道路部、千葉国道事務所、首都国道事務所、千葉市建設局、千葉市都市局、東日本高速道路関東支社、首都高速道路の部長級職員で構成されている。
また、成田空港周辺の一般道の整備計画については別途、新たな検討の場を設け、具体化することとしている。