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北海道建設新聞社
2024/12/23

【北海道】現場警備に革新/AI交通誘導システムが芦別の現場に道内初導入

 警備員の人材不足解消などを目的としたAI交通誘導システムが、芦別市内の片側交互通行規制現場に道内で初めて導入された。大光警備(本社・小樽)が運用し、有資格のオペレーターを含め最低2人の交通誘導警備員で対応できる。安全面でも従来の警備業のイメージを大きく変えることが期待され、元請けの利点も多いため北海道警備業協会が18日、北海道建設業協会にシステムの積極的な採用などを要望する。今後、道内警備業への普及が見込まれる。
 システムは、AI交通誘導システム「KB−eye」。KB−eye(本社・山梨県昭和町)が開発し、全国交通誘導DX推進協会を通じて製品をレンタル・リースする。国土交通省の国道整備現場などを中心に道外で多くの実績を積み上げる新技術情報提供システム(NETIS)の登録技術だ。
 芦別市新城町の道道旭川芦別線沿いで施工中の電気通信線路設備設置現場に導入した。NTT東日本が発注しエクシオグループが施工する。場内の片側交互通行区間700mが対象。業務はエクシオグループからKB−eyeが受注し、運営を大光警備が請け負う。業務期間は14日まで。
 システムは、高い視認性を持つLEDディスプレーと車両を検知・解析するAIカメラなどで構成する。AIカメラは規制区間両端と中間に設置し、AIで通行車両の方向や台数を検知。安全な状態と認識すればディスプレーに「進行」や「停止」のマークを表示する。
 オペレーターは現場にカメラなどを設営すれば通行車両の監視に専念できる。通常の片側交互通行規制は上り車線、下り車線の区間開始付近に警備員が立ち、最低4人が必要だったが、オペレーター1人と交代要員が1人で済む。
 車両が赤信号なのに進入するなど不測の事態が生じた際はディスプレーを「停止」に手動操作。区間内で旗を持ち手作業で交通誘導をする従来方法に切り替える。
 オペレーターの資格を持ち現場でシステムを運用する大光警備札幌営業所の経田博人所長は「区間内に車がいても一定時間で変わってしまう工事用信号とは異なり、3台のAIカメラで常に区間内を監視する。中央のAIカメラが反応すると信号を変えないのが大きな違い」と説明する。
 同社の大八木貴巌社長は「受傷事故も多い中で危険な位置に警備員を置かないのが何よりの利点」と高い安全性を強調する。精神的な負担が大きく軽減される効果を実感している。
 国交省で費用計上が認められているため、元請け業者の持ち出しはなく、経営事項審査でも加点される。大八木社長は「元請けと警備会社双方にメリットがある」と付け加える。
 導入には全国交通誘導DX推進協会の取扱責任者資格、運用には同協会のオペレーター資格が必要。北警協でも今後、講習会などで周知を図る。
 道外では、オペレーターを希望する若者の入社が報告されるなど若手の人材確保にも一役買っている。大八木社長は「これからの時代に応じた警備手法。最新技術で業界の魅力度を高めたい」と期待する。