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北陸工業新聞社
2025/03/06

【富山】準耐火の木材現し方学ぶ/県設監協が木造公共建築講座

 富山県建築設計監理協同組合(中川潔理事長)は4日、2024年度第2回木造公共建築講座「木造準耐火建築物の見学と地域材でつくる防耐火建築セミナー」を、氷見市内で開催した。
 県からの委託を受け、県内における非住宅建築物の木材利用を推進する目的で開いたもの。後援が県木材組合連合会、県森林組合連合会、とやま県産材需給情報センター。
 この日は、組合員企業の建築士や行政、木材など関連団体の関係者ら32人が出席。
 一行はまず、氷見市中央町の「氷見市しんまちこども園」を見学。同園は、市内公立園では初となる幼保連携型認定こども園として23年8月、いきいき元気館の敷地内に移転新築された。
 見学会では同園の設計者で、氷見市出身である子浦中氏(シオ建築設計事務所)の解説を受けながら、園内を順に見て回った。
 整備に当たっては補助金を活用し、木造の良さをPRするための先進的な取り組みが行われた。ひみ里山杉をふんだんに取り入れ、氷見らしい豊かな自然環境と調和した温もりのある建物とした。円形の遊戯室を囲むように保育室を配置し、曲線を活かしたやわらかな動線を確保している。建設規模はW造平屋建て918平方メートル。施工は東工業・氷見土建工業・ハマイJVが担当。岸田木材が木材供給を担った。
 見学後には、会場を氷見市芸術文化館に移動し、講演会も実施。講師は子浦氏が務め、「地域材を活用した準耐火建築物の設計と施工について」を演題に講演した。
 子浦氏は設計図面と現場写真を基に、設計プランニングの趣旨を交えながら、地域材を使った準耐火建築物における木材の現し方のポイントを説明。建築基準法のハードルが高い中、地域材を構造躯体として用いるだけでなく、燃え代設計を用い、柱や梁、遊戯室の天井などを現しにした手法を解説した。
 構造に関しては「円形の遊戯室に被せた屋根に、多雪区域の積雪を背負った地震力を屋根に作用させると、円筒面全集を構造用合板で囲っても壁量として不足するため、上部は鉄筋ブレースを用いた鉛直構面で構成。下部純木造部分は、小屋レベルの屋根面で周囲に地震力を流し、二重のシリンダーで地震に対して抵抗するようにした」と説いた。
 岸田木材の岸田毅会長は、同社の会社概要やひみ里山杉を用いた県内の施工事例、能越の復興住宅「里山スギ板倉の家」、ひみ里山杉活用協議会の活動状況などを紹介。23日に氷見市内で開かれる、ひみの森づくり塾への参加も呼び掛けた。子浦氏を交えた質疑応答も行われた。

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