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建通新聞社(中部)
2025/03/10

【愛知】名市 上下水道施設耐震化へ新展開を

 名古屋市上下水道局は、能登半島地震の教訓を踏まえた施設の耐震化に向けて、取水施設や下水ポンプ設備といった基幹施設を対象とする検討を2025年度に本格化させる。配水管・下水管は、病院や避難所など重要施設をつなぐ管路について、配水管は29年度に96%、下水管は28年度に93%の耐震適合率を目指す方針だ。
 市の上下水道施設の耐震化は、取水施設から浄水場を結ぶ導水管(耐震適合率89%)や浄水場(耐震化率99%)、浄水場〜配水池を結ぶ送水管(耐震適合率100%)、配水池(耐震化率95%)といった分野で、全国平均を上回る耐震化が図られている(全国平均は、導水管34%、浄水施設43%、送水管47%、配水池67%)。また、水処理センターは沈殿機能の耐震化をこれまで行っていて、耐震化率は71%(市内14カ所の水処理センターのうち10水処理センターで完了、熱田水処理センターで27年度完了を目指し工事中)だ。
 一方、能登半島地震では、取水口の被害や下水処理場内の揚水ポンプ設備の倒壊といった被害が、復旧長期化の一因にもなった。この教訓を踏まえ、国土交通省は上下水道システムの急所施設(その施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設)や、避難所などの重要施設に接続する上下水道管などの耐震化状況について緊急点検を実施。23年度末時点の概要を昨年11月に公表している。
 名古屋市の施設では、2取水場(犬山、朝日)の耐震化率がゼロとなっている。この他、揚水機能の確保は水処理センターが露橋の1施設のみで、また水処理センターまでにある重要なポンプ場(15カ所)で機能を確保しているのが2ポンプ場しかない。なお、市のスタンスは、設備・躯体の一部で耐震性がない場合は、施設全体の耐震性がないとして評価している。
 取水場については、犬山取水場の取水口移設や木曽川水系連絡導水路からの取水を見据えた整備計画策定を、昨年夏に開始。朝日取水場も25年度に基本計画策定を開始できるよう、準備を進める方針だ。
 揚水機能確保は、これまでに整備計画策定を終えており、今後は設備更新の設計に合わせて耐震診断を実施する計画。耐震化が必要であれば、設備更新に合わせて耐震化を図るとしている。
 配水管(市全域で8400`)の耐震化は、年間102`のペースで実施しており、耐震適合率は65%(23年度時点)。28年度に70%に引き上げるのが目標だ。このうち、重要施設をつなぐ水道管は、29年度の耐震適合率96%を目指している。
 下水管は年間45`の整備のうち、重要施設をつなぐ管路と緊急輸送道路の直下にある管路の耐震化を延長10`で行っている。重要施設などをつなぐ管路の耐震化率は、28年度で93%を計画する。
 ※耐震適合率は、耐震管(NS形など)とK形など地盤によって耐震性を確保できる管路が全体に占める比率。


提供:建通新聞社