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建通新聞社四国
2025/03/07

【愛媛】松山港中・長期ビジョン 愛媛県近く計画案 

 松山港の20〜30年先の方向性などを示す中・長期ビジョンの計画案が固まった。「笑顔広がる松山港〜にぎわいと活力あふれるウォーターフロントを目指して〜」を目指す将来像とし、七つの基本方針と12の基本政策により構成。特に注目すべき点として、港湾内の物流・産業用地の確保の他、クルーズ船の受け入れ環境の整備といったにぎわいの創出、カーボンニュートラルポートの実現に向けた取り組みを盛り込んだ。
 またゾーニングでは、内港地区から和気地区までに加え、空の玄関口である松山空港を交流拠点・人流関連ゾーンとした。県は近く計画案を示し、県民などの意見を求め取りまとめる。
 七つの基本方針は松山港が果たすべき「物流・産業(物流拠点)」「交流・にぎわい(にぎわい拠点)」「環境(環境調和した港湾)」「安全・安心(防災拠点)」の4分野の役割について、抽出した課題の解決に必要な方向性を示したもの。@港湾物流機能向上による地域産業の競争力強化A新たな臨海部用地を活用した地域産業の振興B国内外来訪者の受け入れ・交流拠点の形成C県民に親しまれる新たな臨海部のにぎわい空間の創出D豊かな海辺空間の活用Eカーボンニュートラルポート実現に向けた取り組みの推進F防災・減災機能の強化による安心・安全の確保―で構成する。
 @ではふ頭再編や港湾施設整備、松山外環状道路との連携などを目指す。施策内容として外港地区に大型クルーズ船専用の岸壁やRORO船などのバースを新設、水素などの次世代エネルギー受け入れ施設用地の確保などを盛り込んだ。
 Aでは新規埋め立てや低利用施設の利用見直しを行う。外港地区や今出地区で埋め立てを検討する他、今出地区で水面貯木場を物流・産業用地に転換し、企業の用地ニーズにつなげる。
 Bではクルーズ旅客の受入拠点形成などの交流拠点形成を図る。松山観光港フェリーターミナルのリノベーションと商業施設誘致、松山観光港と高浜駅を結ぶ鉄道延伸なども検討する。
 Cでは官民連携と既存施設を生かしたにぎわい空間を創出する。みなと緑地PPP制度を活用した収益施設の誘致、周辺環境の整備や松山港みなとオアシス登録を目指す。
 この他、Dでは海辺の景観を生かした空間整備、Eでは港湾脱炭素化に向けた港湾機能の高度化、Fでは緊急物資や災害廃棄物の受け入れ、さらには官民の多様な関係者が協働して気候変動に対応する協働防護―を基本施策に掲げた。
 県は策定した同ビジョンを基に、短中期的な施策を抽出し、10〜15年先を目標とした港湾計画を今後新たに作成する。
【基本施策の主な内容】
 <物流機能強化策>外港地区に大型クルーズ船専用の岸壁と荷役用地(RORO船などのバース)を新設、水素などの次世代エネルギー受け入れ施設用地を外港新埠頭北側に確保など
 <交流・にぎわい創出>松山観光港フェリーターミナルのリノベーションと商業施設誘致、大型プレジャーボート受入施設の整備、松山観光港と高浜駅を結ぶ鉄道延伸などの検討、みなと緑地PPP制度を活用した収益施設誘致など
 <環境対策>荷役機械の低炭素化推進、陸上電力供給設備の導入、ブルーカーボン生態系活用によるCO2削減、臨港道路の緑化と景観改善
 <防災・減災対策>外港地区と高浜地区での耐震強化岸壁の整備、今出地区での災害廃棄物仮置き場の確保、官民協働による気候変動対策の実施

提供:建通新聞社