京都府は、府営水道事業として今後整備を見込む「城陽市第2分水施設」と「木津浄水場高度浄水処理施設」について、事業評価を行う。
3月12日開催の令和6年度第2回公共事業評価に係る第三者委員会に両事業の事業評価について報告した。
城陽市第2分水施設は、城陽市の東部丘陵地開発に伴う水需要が見込まれることから、市の要望を受けて「広域化施設整備事業」として、残る城陽市第2分水施設の整備を実施する。
木津浄水場高度浄水処理施設は、木津浄水場において取水する河川水のかび臭原因物質が増加するなど異臭味リスク等が高まっていることから、高度浄水処理導入に向けた取組を推進する。
府営水道に係る事業評価にあたっては、府営水道の経営状況や投資計画などに精通する府営水道事業経営審議会で、事業評価における検証項目と同等の内容を経営的な視点も含めて検証が可能とし、同審議会に諮り事業評価を行うこととするとした。
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《御陵山崎線の街路事業を審議》
公共事業評価に係る第三者委では、事前評価の都市計画道路御陵山崎線(C工区)街路整備事業、事後評価の都市計画道路東中央線街路整備事業を審議した。
都市計画道路御陵山崎線(C工区)街路整備事業の事業箇所は向日市寺戸町中垣内〜中ノ段の延長0・51q、幅員15・0m(2車線、両側自転車歩行者道等)で一般部が中央帯2・0m、車線3・0m×2、路肩0・5m×2、自転車歩行者道3・0m×2、交差点部が右折車線2・5m、車線2・75m×2、路肩0・5m×2、自転車歩行者道3・0m×2。全体事業費は約48億円を見込む。計画交通量は1万1400台/日(令和22年予測交通量)、道路の区分は第4種第2級。
御陵山崎線の当該事業区間に接続する前後区間では、平成30年に北側0・25qの道路拡幅整備(寺戸事務所前工区)が完了しており、さらに現在、向日市域では京都府事業として2区間で街路整備事業(A工区、B工区)を順次進めている。
事業中のA工区、B工区が完成すると、寺戸事務所前工区からB工区までの0・51qの未整備区間がボトルネックとなるため、この区間の拡幅整備を行うことで、整備済区間を0・25qから約1・2qに拡大することができる。
事前評価の当該事業は、この0・51qの区間(C工区)において、車道の拡幅、両側歩道の整備及び電線共同溝の整備による無電柱化を行うことにより、交通の円滑化、歩行者の安全性の向上を図り、向日市のまちづくりを支援するとともに、緊急輸送道路としての機能強化を図る。
施工時のコスト縮減では、無電柱化において低コスト管路材を使用することで、従来の管路材を使用した場合に比べ、無電柱化の整備費(材料費、工事費)で約3割のコスト縮減を見込むことができるとした。
事業費内訳は工事費11億8000万円、用地補償費31億6000万円、その他経費(測量試験費等)3億1000万円で計46億5000万円、維持管理費5000万円と合わせた合計は47億円(基準年における現在価値化した値は37億5000万円)。
便益の内訳は走行時間短縮便益145億2000万円、走行経費減少便益11億8000万円、交通事故減少便益2000万円の計157億2000万円(基準年における現在価値化した値は48億円)。
総費用総便益比(B/C。基準年における現在価値化した値)は(B)48億円/(C)37億5000万円で1・28と算出した。
令和7年度に事業着手し、16年度の完了を見込む。
公共事業評価に係る第三者委で「総合評価として、新規着手の必要性が認められる」とする府の方針案を示した。
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《舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業を報告》
公共事業評価に係る第三者委では、近畿地方整備局の舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業の事業評価について報告した。
重要港湾舞鶴港和田地区国際物流ターミナルは、平成元年から国の直轄事業と京都府の補助事業を一体のプロジェクトとして実施していることや、国土交通省所管公共事業評価実施要領が平成22年4月に改訂され、国の事業評価において京都府の意見が十分反映されるものとなったこと、評価内容・評価方法は京都府の評価方法等と同一であることから、国交省所管公共事業評価での検討事項は、京都府公共事業評価に係る第三者委の審査内容を重複するため、報告をもって審査されたものとして取り扱うとした。
令和6年11月開催の令和6年度第2回近畿地方整備局事業評価監視委員会で再評価の対象となった。
舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業は、舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業、舞鶴港和田地区国際物流ターミナル(マイナス12m)整備事業の2事業を統合し、一体の事業と整理した上で再評価した。
統合後の舞鶴港和田地区国際物流ターミナル整備事業は、貨物需要の増大や船舶の大型化へ対応するため、近畿圏北部を発着するコンテナ貨物やバルク貨物の輸送効率化及び埠頭間連絡と幹線道路へのアクセスを図ることによる利便性・安全性の向上を目的とし、国際物流ターミナルの整備を行うとともに、太平洋側大規模地震発生時に阪神港を補完するリダンダンシー機能を確保するのが目的。
全体事業費は、公共工事関連単価等の変動による事業費の増額で609億円から808億円に増額。
事業期間は、臨港道路整備に伴う地元調整及びふ頭用地の造成に時間を要したことにより、令和9年度から令和17年度に延伸する。
事業費増加の要因は、@物価上昇による労務費及び資機材経費等の増約54億円A構造・工法の見直しによる施工費の増(起点部の構造について経済性の観点から、盛土構造+函渠工(場所打ちボックスカルバート)を想定していたが、地元調整により、構造形式を橋梁構造へ見直し。鋼管ソイルセメント杭について、ボーリングの結果、支持層の深さ及び土層構成が想定と異なったことにより鋼管ソイルセメント杭の長さ及び土留めの構造、打設方法に変更が生じた)約48億円B地盤改良の見直しによる施工費の増(ふ頭用地の護岸構築に必要となる地盤改良について、隣接護岸と同様の構造断面を想定していたが、ボーリングの結果を踏まえた設計を実施した結果、当初想定に対し地盤改良範囲(幅、深さ)に変更が生じた)約97億円。
事業期間については、当初の想定より用地取得に時間を要しており、道路(上安久線)の整備期間を7年延長(用地取得率96・6%。令和6年3月現在)。ふ頭用地について、護岸の構造断面見直しや全国的なSCP船の需給逼迫による整備の遅れ及び段階的な土砂投入により整備期間を8年延長。これらにより、事業期間を8年間延長。ただし令和12年度から岸壁(マイナス12m)を先行して供用することで、岸壁(マイナス14m)と一体利用可能となり、段階的な効果の発現を見込む。
費用便益比(B/C)は、事業全体では総便益(B)1740億3000万円、総費用(C)1468億2000万円で1・2、残事業では総便益(B)275億2000万円、総費用(C)220億9000万円で1・2と試算した。残事業の費用の内訳は事業費195億1000万円、管理運営費等25億8000万円。
事業進捗は、岸壁(マイナス14m)、航路・泊地(マイナス14m)は供用済で、道路、岸壁(マイナス12m)、ふ頭用地が残事業としてあり、全体の進捗率は65%まで進んでいる。
コスト縮減としては、臨港道路から発生する山林部の切土を岸壁背後の裏埋材として活用することで裏埋材の購入費用の縮減に取り組み、事業費約4億円のコスト縮減を見込む。