県県土整備部は17日、2024年度第4回県土整備公共事業評価審議会(委員長=轟朝幸・日本大学理工学部交通システム工学科教授)を、県庁中庁舎4階県土整備部会議室を本部としてウェブ会議形式で開いた。事前評価案件「臨海部土地造成事業(港湾事業)千葉港千葉中央地区」の新規事業着手と、再評価案件4件の事業継続を了承した。千葉港千葉中央地区の事業規模は、ヤード4ha、埋め立て護岸244m、水路160m。全体事業費は約78億円。事業期間は25〜37年度。
千葉港千葉中央地区は千葉港の物流拠点となっており、自動車船取扱岸壁、コンテナターミナル、一般貨物岸壁を有している。一方で、野積み場不足により出洲ふ頭やその他のヤードを用いるなどの非効率な輸送が発生している。
事業箇所は官公庁船の船だまりとなっており、千葉港湾合同庁舎が隣接。活用に当たり、庁舎の移転などの課題があることから、移転を伴わない段階的な土地造成(第1期埋め立て4ha)を行うことで、事業効果の早期発現を図る。
費用便益比(B/C)2・47で投資効果が認められること、非効率な荷役が緩和され輸送コストが削減されること、千葉中央地区の自動車・鋼材などの貨物量増加に寄与すること、輸送効率・能力の向上による千葉港の国際競争力の向上や地域産業の安定・強化に寄与することから、25年度からの事業着手を「妥当」とした。
一宮川水系は101億円の増額
再評価の対象は▽社会資本整備総合交付金大規模特定河川事業・事業間連携河川事業・河川激甚災害対策特別緊急事業(河川事業)(二)一宮川水系一宮川・阿久川・豊田川・三途川・水上川=総事業費1054・7億円、事業延長33・1km▽社会資本整備総合交付金大規模特定河川事業(河川事業)(二)南白亀川水系南白亀川・赤目川・小中川=総事業費219・3億円、事業延長11・3km(南白亀川)、7・7km(赤目川)、1・1km(小中川)▽社会資本整備総合交付金(河川事業)(一)利根川水系清水川=総事業費54・5億円、事業延長1・6km▽社会資本整備総合交付金(港湾事業)木更津港海岸木更津地区=総事業費101億円、事業延長9・2km。
一宮川水系一宮川・阿久川・豊田川・三途川・水上川については、現地条件や社会情勢の変化に対応するため、全体事業費を101・3億円増額し、1054・7億円とした。増額箇所は、一宮川中下流域および阿久川61・3億円、一宮川中流域40億円。
全体事業費に対し、24年度末までに952・1億円を投入する計画で、進捗率は90・3%となる見通し。残事業費は102・6億円。
費用便益比9・8(残事業5・2)で投資効果が見込めること、地元からの要望が極めて強いことから、事業を「継続」し、計画的な事業推進を図る。
南白亀川水系南白亀川・赤目川・小中川に関しては、南白亀川の築堤工事に当たり、用地の確保が必要であることが判明し、用地買収に時間を要することから、事業期限を25年度から33年度に延伸した。
全体事業費219・3億円に対し、24年度末までに168・5億円を投入する計画で、進捗率は76・8%となっている。
費用便益比4・0(残事業8・6)で投資効果が見込めること、圏央道およびスマートICの整備など流域の発展が見込まれること、地元からの要望が大きく、進捗が見込まれることから、事業を「継続」する。
利根川水系清水川では、今宮橋の架け替えに伴う道路構造の検討や関係機関などとの調整・協議に時間を要することから、事業期限を24年度から33年度に延伸した。
全体事業費54・5億円に対して、24年度末までに15・8億円を投入し、進捗率は約29%に達する見込み。
費用便益比1・9(残事業2・7)で投資効果が見込めること、市街地で浸水被害が発生しており早期に治水安全度の図る必要があること、地元から進捗が要望されていることから、事業を「継続」する。
木更津港海岸木更津地区港湾整備事業(高潮対策)では、陸上自衛隊木更津駐屯地の背後から君津市境までの海岸保全施設の新設・補強などを実施している。事業期間は1998〜2033年度。総事業費101億円に対し、24年度末までに26億円を投入する計画で、進捗率は25・3%となる見通し。
費用便益比6・4(残事業12・6)で投資効果が見込めること、高潮による度重なる被害を受けていること、地震や津波対策に対する要請が高まっていること、背後地に集客施設の誘致が予定され防護の必要性があることから、事業を「継続」し、効果の早期発現を図る。