静岡県は、制限付き一般競争入札と指名競争入札について、2025年度から発注時に県が想定する入札参加者数(入札参加想定業者数)と指名選定業者数を見直す。地域の建設業者の維持・育成の他、災害発生時の応援態勢などを持続的に確保していくための取り組みで、入札参加想定業者数と指名選定業者数を見直し、少ない業者数でも入札を実施する。
県は工事を発注する場合、一定の入札参加数が見込めなければ、地域要件設定を見直し、より広範囲の事業者が入札に参加できるようにしているが、地方部と都市部では業者の数に差があるため、受注の機会の面で地方部の業者が不利となることがある。また、災害発生時には、すぐに駆け付けられる地場業者の協力が必要となるため、地方部の業者が地域の守り手としての技術を適正に身に付けるとともに、経営を維持できる環境を整える。
具体的には、制限付き一般競争入札と、工事費が5000万円以上で政府調達案件(WTO対象)未満の案件を、現行の20者程度から10者程度に見直し、指名競争入札の工事費1000万円以上5000万円未満の案件を原則15者程度から原則5者以上、工事費250万円以上1000万円未満の案件を原則10者程度から原則5者以上に見直す。
県発注工事については、1000万円以上が原則として制限付き一般競争入札となっているが、一般競争が不利となる場合については指名競争を採用している。
入札参加想定業者数の緩和については、直近20年間で業者数が大幅に減少していることが要因の一つ。県によると、県の土木一式の入札参加資格者数は、05年度〜24年度の期間で4割ほど減少しているという。
今回の見直しと同様の入札参加想定業者数の緩和は、「地域を守る事業者維持・育成入札」として要領をまとめ、県内の過疎地域と振興山村地域を対象に実施している。この要領を適用する制限付き一般競争入札での発注工事は、入札参加想定業者数をおおむね5者以上とする。県内の過疎地域は、下田市や南伊豆町、沼津市と島田市の一部地域、浜松市天竜区の一部などが該当している。
提供:建通新聞社