【横浜】日本郵船(東京都千代田区丸の内2ノ3ノ2)は、風力発電を活用した「洋上浮体型グリーンデータセンター」の整備に向け、秋に横浜市の大さん橋ふ頭で実証実験を開始する。実験はNTTファシリティーズ(東京都港区)とユーラスエナジーホールディングス(東京都港区)、三菱UFJ銀行(東京都千代田区)、横浜市港湾局と共同で実施。運用に関わる課題を抽出した上でデータセンターの整備計画を具体化し、2030年前後の稼働開始を目指す。
プロジェクトは日本郵船が統括。生成AIの普及などDXの進展により都市部を中心にデータセンターの需要が高まっているが、陸上で建設する場合には建設用地の不足や工期の長期化といった課題がある。同社の海運事業のノウハウを生かし洋上浮体型データセンターの整備・運用技術を確立することで、データセンターの開発を推進する狙いだ。
電力の供給に当たっては洋上風力発電所の活用を構想。再生可能エネルギー100%で稼働することを目指す。設置場所は横浜市の海域だけでなく、さまざまな場所で検討しているという。
実証実験は大さん橋ふ頭にあるミニフロート(25b×80b)で実施する。コンテナ型データセンターを設置し、蓄電池と太陽光発電システムから電力を供給。運用時の課題を抽出する。
NTTファシリティーズが洋上浮体型データセンターの設計・構築・運用、ユーラスエナジーホールディングスが再生可能エネルギーに関する運用状況を検証。三菱UFJ銀行が金融支援を行う。横浜市は災害時に再生可能エネルギーや蓄電池を活用する可能性を検討する。
日本郵船は23〜26年度を対象とする中期経営計画で船舶や海運といった既存の中核事業を深化するとともに、新規分野を開拓する方針を示している。新規事業には総投資額1兆2000億円のうち1000億円を充てる計画だ。
特に再生可能エネルギーの需要が拡大するとみて、洋上風力関連に430億円、水素・アンモニア関連に320億円を投じ、バリューチェーンの構築を目指している。洋上風力発電については人員や物資の運搬船の保有などを進める考え。
提供:建通新聞社