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建通新聞社(神奈川)
2025/04/02

【神奈川】県内建設業 課題抱えながら業況は堅調

 日本銀行横浜支店は、3月の神奈川県分の企業短期経済観測調査(短観)を公表し、県内建設業の最近の景況感を示す業況判断(DI)はプラス24だった。前回2024年12月調査から変わらず。一方、神奈川産業振興センター(KIP)の中小企業景気動向調査によると、1―3月期の建設業の業況判断はマイナス1・6で、24年10―12月期から1・6ポイント改善した。全6業種で建設業の業況は最も良く、人手不足などの課題を抱えながら、堅調な経営を維持していることがうかがえる。
 日銀短観は「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いたDI値で示す。
 全11業種の現況のDIはプラス19で、建設業のプラス24は全産業平均を上回る。先行きを示すDIはプラス18と前回調査と変わらず。建設業などの景況は堅調なものの、大竹弘樹支店長は「人手不足による受注制約や需要の取りこぼし、人件費の上昇などコスト増を心配する見方もある」と話す。
 24年度の設備投資計画(固定資産計上ベース)は、前年度比12・5%増で、25年度も3・4%増を見込む。設備投資の増加は4年連続で、高水準の企業収益が設備投資につながる好循環が続く一方、日銀では「人手不足などの影響が表面化しており、設備投資計画の下押しにならないか注視する必要がある」と建設業の状況が景気の足かせになる可能性も指摘する。
 短観の神奈川県分の調査対象は286社(製造業123社、非製造業163社、業種別の内訳は非公表)。
 
中小建設業の業況改善も4―6月期は大幅マイナス

 KIPの実施した1―3月期の中小企業景気動向調査によると、建設業の業況DIはマイナス1・6だった。
 1―3月の経営状況については、「材料や賃金の価格転嫁が進展した」とする声があり、項目別のDIを見ても「売上」をプラスと判断したのは建設業のみ。「単価」のプラス幅も建設業が最も大きかった(表)。
 先行きの4―6月期についてはマイナス14・8と大幅な悪化を見込む。例年、公共事業の端境期を迎えるこの時期の景況感は悪く、前年同期もマイナス10・5だった。神奈川県や政令市を中心に公共事業の前倒し発注を進めているが、建設企業の不安を和らげるには至っていないことが分かる。
 KIPの調査対象は1003社でこのうち建設業は124社。

人手不足は切迫

 建設業の雇用状況は切迫し、KIP調査の建設業の雇用状況DIはマイナス50。全産業平均のマイナス29・1を大きく下回り、業種別でも最も厳しい。日銀の3月短観でも建設業を含む非製造業はマイナス48となっており、企業規模にかかわらず人手不足が改善する兆しは見えない。

提供:建通新聞社