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日本工業経済新聞社(埼玉)
2025/04/04

【埼玉】熊谷市 橋りょう点検でDX化推進、27年度にもAI導入目指す

 熊谷市は、道路法で義務付けられた5年に一度の橋りょうの点検について、DX(デジタルトランスフォーメーション)化する事業を進めている。2023年度から3年間で展開しており、25年度にはAI(人工知能)を用いた損傷具合の解析などの技術を検証していく。技術を確立させ、26年度か27年度には点検で実用化していきたい考えだ。
 熊谷市では、田園地帯が広がる地域に用水路が網の目状につながっている。そうした用水路にかかる橋りょうが多いため、同市が管理する橋りょう数は1075ほどに上る。同市によると、県内でも有数の多さだという。
 うち90%以上を占めるのが橋長15m未満の短いもの。さらに半分程度の500本ほどは、構造的に単純な橋りょうだという。
 こうした事情から、同市では、法定の点検作業を効率化したりコスト縮減したりすることが課題となっていた。また、将来的には、官民ともに熟練の技術者が減少することなども予想されており、適切な維持管理業務を持続していくための施策が求められてきた。
 同市では、23年度から、360度回転するカメラで橋りょうなどを撮影したデータをもとに3Dモデル作成。それを活用し、技術者らが目視で点検を行う検証を進めてきた。24年度までに当初予算ベースで事業費約2200万円を確保してきたが、小さなひび割れなど、どうしても判断が難しい点が多く残ったという。
 同市維持課は「鉄筋が露出している状態などがあれば十分に判明するが、小さなひび割れやわずかな塗装の劣化などはどうしても画像だけから判断するのが難しかった」と説明する。
 そこで25年度には、上空からドローンなどで撮影した画像データをもとに、AIなどで損傷具合などを解析する検証を始めることにした。実際には、その基礎資料をもとに技術者が、コンクリートといった素材の内部状態などを加味したうえで、全体の健全度を判定する。
 こうしたDX化の取り組みは、県内の自治体では珍しいという。同市では、3D技術とAIを活用する二本立てで、点検をDX化していく方針だ。


提供:埼玉建設新聞