京都府は、令和6年1月に発生した能登半島地震を踏まえ、国土交通省から災害に強く持続可能な上下水道システムの構築に向け、上下水道システムの急所施設や避難所等の重要施設に接続する上下水道管路等について、上下水道一体で耐震化を推進する必要があると示されたことを受け、上下水道耐震化計画をとりまとめた。
「上下水道耐震化計画 −水道用水供給事業−」によると、宇治・木津・乙訓の3浄水場は、平成16年度から順次対策を進め、平成28年度に3浄水場全ての耐震化が完了したが、管路は復旧に長時間を要する水管橋の耐震化を優先的に実施し、平成21年度に完了。また宇治浄水場導水管路の更新は平成22年度に完成させ、導水管路全ての耐震化を終えた。
送水管路は、総延長約74qのうち約45qが非耐震管だが(耐震管率40%)、耐震化にあたっては、給水を継続しながら耐震性があるダクタイル鋳鉄管への布設替えとなるため、莫大な費用と長期の事業期間を要するとし、老朽化に伴う更新と整合を図りながら耐震化を実施する「送水管路の更新・耐震化計画」を平成25年度に策定し、設置年度が古く脆弱な箇所から老朽化更新を順次行い、令和42年度頃までに全ての耐震化を終える計画で進めてきた。
設置年度が古く、耐震性の低い継手や鋳鉄管を使用している宇治浄水場送水管路(幹線・城陽市分水線)を最優先で平成26年度から更新を実施しており、城陽市分水線を完成させ、平成29年度に供用開始(2・6q)、幹線の一部を完成させ、令和2年度に供用開始(2・2q)したことで、耐震管率は47%に向上した。
令和7年度から令和11年度の5年間では、宇治浄水場送水管路(幹線)全線の更新・耐震化を完了させる。
また、木津浄水場送水管路について、液状化の可能性が高い上、設置年度が古く脆弱な箇所の更新工事に着手し、次期計画期間(令和12〜令和16年度)での完成を目指し、集中的に耐震化を進めるとともに、城陽市東部丘陵地整備に伴う水需要が見込まれることから、災害等に対する市町水源の多重性を確保し、緊急時における貯留機能を合わせ持つ2ヵ所目の城陽市分水線の整備(耐震性があるダクタイル鋳鉄管の布設)を令和11年度に完了させる。
さらに、令和6年に発生した能登半島地震の被害状況を踏まえ、送水管埋設箇所の地盤調査を行い、耐震性が低い箇所を先行的に実施するなど送水管路の耐震化計画の加速化を図る考え。
これら耐震対策を計画期間(令和7〜令和11年度)で集中的に実施することにより、耐震管率を55%(耐震管延長4万1573m+耐震適合管以外3万4307m、計7万5880m)まで向上させることを目標に設定した。
一方、上下水道耐震化計画(下水道)は、令和7〜11年度の計画期間の実施目標として、▽処理場…揚水・消毒施設は耐震化を完了、沈殿施設は処理量の多い処理場を優先して耐震化を推進▽ポンプ場…中継ポンプ場の耐震化を完了▽管路…市町村が計画期間中に管路の耐震性能確保を目指す重要施設より下流の耐震化を完了を設定。
揚水・消毒施設については、全ての処理場で耐震化完了を目指し、処理場における最低限の放流ルートを確保する。沈殿施設については、日常の下水処理に必要な処理能力を確保しながらの施工が必要であるため、段階的な耐震化となり完了までに時間を要することから、処理量の多い処理場を優先して耐震化を推進する。なお沈殿施設は各処理場で1系列以上の耐震性能を確保している。
ポンプ場については、中継ポンプ場の耐震化完了を目指し、最下流の処理場まで下水を送水するための揚水機能を確保する。
管路については、流域関連市町が計画期間中に管路の耐震性能確保を目指す重要施設より下流の耐震化の完了を目指し、重要施設からの下水を送水する機能を確保する。
計画期間中に耐震化が完了しない沈殿施設については各処理場において段階的に耐震化を行い、管路については下流側もしくは老朽化対策が必要な箇所から順次耐震化を行い、令和26年度末までに全ての急所施設の耐震化を目指す。