金沢市立病院事務局は今年度、市立病院再整備に伴う基本設計業務委託について、最も望ましい発注方式を選定した上で、第2四半期をめどに発注する方針だ。また、移転候補地「平和町公園(平和町2丁目/敷地面積9244・25平方メートル〈国有財産〉)」の取得協議を本格化させるとともに、同再整備に伴う測量業務委託(制約付き一般競争入札案件)も第2四半期中に入札公告する。
新病院建物の延べ床面積は約3万3700平方メートル(建築面積約6500平方メートル)が想定され、地下に駐車場(180台程度)を整備予定だが、事業費を精査する中で必要に応じて現病院敷地(平和町3丁目)の一部活用も検討していく。
整備コンセプトには、「地域住民とともにつくる未来型自治体病院」を掲げ、病床数は現病院の全306床(うち一般病床275床、結核病床25床、感染症病床6床)を維持。診療科目は内科、外科、産婦人科など現在担う21診療科に加え、歯科口腔外科を新たに設ける。再整備にあたっては(1)すべての患者さんにとって、安心・安全で利用しやすい病院づくり(外来受診患者の動線短縮を最優先に考え、採血・採尿、中央処理、生理検査、内視鏡、放射線の各部門を隣接/患者総合支援センターの設置ほか)(2)公立病院に求められる政策的医療について、責任を持って遂行できる病院づくり(救急受け入れ体制の強化/災害拠点病院として建物・設備の免震化ほか)(3)地域の医療機関、介護・福祉施設と連携できる病院づくり(開業医との検査機器の共同利用ほか)(4)デジタルとAIの導入による質の向上と効率化した病院づくり(手術用ロボットやCT〈ポータブル放射線装置〉が設置可能な手術室整備ほか)(5)医療人材の教育・研修・研究の場としての病院づくり(6)職員が働きやすい病院づくり(職員全体の休憩及び交流スペースとしてリラクゼーション室設置ほか)(7)地域住民の生活・交流の場としての病院づくり(高齢者が交流できる集いの場ほか)(8)他の行政部門と連携する病院づくり(病院敷地内における救急隊の配置検討ほか)(9)景観に配慮した、市として特色のある病院づくり(金沢産材をはじめとした木材の地産地消を考慮した建築物ほか)−にも留意していく。
整備スケジュールに関しては、現段階で設計業務に約3年、工事に約3年をそれぞれ見込む。
今年度当初予算に市立病院移転整備事業費(特別会計)として総額3億380万円(うち債務負担1億3800万円)を盛り込んだ。
市立病院再整備基本計画策定支援業務はシップヘルスケアリサーチ&コンサルティングが担当。