東京商工リサーチ横浜支店がまとめた神奈川県企業倒産状況によると、2024年度の県内建設業の倒産件数は前年度から7件減の131件だった。全10業種で比較すると「サービス業他」の168件に次いで高い。ただ、負債額の小さい零細企業が大半を占め、負債総額は前年度比3割減。元請けクラスの倒産は確認されなかった。
建設業で倒産した131件を業種別にみると「土木」が最も多く19件。「管」の18件、「建築」の17件がこれに続く。
地区別では▽横浜市=70件▽川崎市=15件▽相模原市=8件▽小田原市=7件▽横須賀市=6件▽平塚市=4件▽藤沢市、大和市=3件▽茅ケ崎市、厚木市、座間市、綾瀬市=2件―などとなっており、12の自治体で複数の倒産が発生している。
負債総額は138億5200万円で、前年度から31・8%減。負債額10億円を超える大型倒産はなく、最も多かったのは横浜市のブロック工事業者の4億円。この他、3億円台で2件、2億円台で2件の倒産があった。
東京商工リサーチでは「建設業の倒産は、従来から赤字体質の企業が人件費や資材高などのコストアップ局面で息切れするケースがほとんど。仕事があっても利益にはつながらない下請け企業は多い」と指摘する。
元請けクラスの倒産はなし。全産業では5・7%増の557件
日本銀行横浜支店の企業短期経済観測調査(日銀短観)、神奈川産業振興センターの調査によると、県内建設業の景況は他業種と比較して良好な判断が示されている。両調査の対象は元請けや一定の規模以上の企業が多く、直近3月の調査でも人手不足や資材高などの課題を抱えながら、経営は堅調に推移していることが確認された。
東京商工リサーチは「建設業で元請けクラスの倒産はなく、下請けでも技術力や専門性の高い企業の状況は良い。今後、経済全体が景気後退に陥れば、経営の厳しい企業については金融機関の選別がさらに鮮明になる可能性がある」と話す。
県内全産業の24年度の倒産件数は557件と前年度から5・7%増加。一方で負債総額は573億7400万円と72・4%減少した。負債総額が減ったのは、23年度に携帯端末メーカーとグループ会社の大型倒産(合計で1441億円)があった影響が要因。
提供:建通新聞社