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日刊岩手建設工業新聞社
2025/05/01

【岩手】岩手県砂防災害課 大船渡市林野火災で緊急のハード対策検討 砂防堰堤新設や既設改良

 県土整備部砂防災害課は、大船渡市の林野火災への対応として、土砂災害による被害の防止・軽減を図るため、緊急的な砂防堰堤の整備や既設堰堤の改良などを検討している。今後、具体的な整備箇所を選定した後、調査設計や用地交渉などを進めていく。用地交渉などが順調に進めば、最短のスケジュールとして、25年度末にも工事を発注したい考えだ。県の25年度一般会計補正予算(第1号)では、災害関連緊急砂防事業費16億5000万円を新規に計上した。

 同市の林野火災の延焼範囲は、約3370f。県によると、現地では森林の焼損により山の保水力が低下しており、土砂災害が起こりやすい状況にある。

 同課は土砂災害による被害を防止・軽減するため、緊急的なハード対策の実施を検討している。延焼範囲内には、土砂災害警戒区域が約70カ所ある。その中から、避難所などの特別な施設がある箇所において、砂防堰堤の新設を検討している。
 既設の堰堤に関しても、流木を捕捉する施設を設置するなど、何らかの改良を実施する。さらには、上流側からの土砂や流木を確実に受け止められるよう、堆積土砂の撤去を行う計画だ。

 同課は、国との協議を踏まえながら、砂防堰堤の新設箇所や改良の実施箇所などの選定作業を進めている。林野火災の被害が広範囲にわたったことから、整備箇所の選定には、一定程度の時間を要する見込み。新設・改良ともに、それぞれ数カ所での整備を計画している。
 整備箇所の選定後、調査設計や用地交渉などを進めていき、砂防堰堤の規模などを具体化していく。用地交渉などが順調に進んだ場合、最短のスケジュールとして、25年度末にも工事を発注したい考え。工事の完成までには数年を要する見通しで、出来る限り早期の完成を目指す。

 県の第1号補正予算では、砂防堰堤の新設や既設堰堤の改良などに係る工事費として、災害関連緊急砂防事業費16億5000万円を新規に計上した。
 このほか、第1号補正予算では、継続の砂防調査費に2億2320万円を計上。砂防堰堤の新設や既設堰堤の改良などに向けた調査費などに充てる。砂防設備修繕費には1億2460万円を盛り込んでおり、大型土のうの設置や急傾斜地崩壊防止施設の修繕を実施する計画だ。

 同課では「梅雨や台風のシーズン前までには、大型土のうの設置など、応急対策を進めていきたい。市と共同で、地域住民に対し、土砂災害警戒区域などを改めて周知していく」との考えを示している。

提供:日刊岩手建設工業新聞