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滋賀産業新聞
2025/05/08

【滋賀】県湖東農振 敏満寺地先ため池「尼子池」の耐震改修

 多賀町が計画してきた尼子地区が管理する敏満寺地先「尼子池」の耐震化に向けた改修整備は、24年度県の所管となることが決まり同年度県湖東農業農村振興事務所が詳細設計を発注・完了した。25年度当初予算には事業費の多賀町負担金約500万円が計上され、同年度に県湖東農振から初弾工事の発注・着工となる見通し。事業期間は27年度までの3ヵ年での施工を計画している。
 25年度の多賀町当初予算には土地改良事業費総額5848万4千円を措置し、うち約500万円を尼子池の耐震対策事業に係る県営事業負担金(11%)として計上。このほか木曽池の県営事業負担金約400万円や大門池の耐震調査委託費約2500万円、尼子池の排水路基本設計委託費約600万円なども計上している。
 24年度当初予算では土地改良事業費総計3341万2千円に、尼子池の耐震対策で行う測量および設計業務の県営事業の町負担分を措置。実施設計を所管する滋賀県湖東農業農村振興事務所から24年度、尼子池地区実施設計業務がキタイ設計(近江八幡市)に発注され、ため池改修に係る実施設計業務一式および補足測量一式を行い完了している。
 22年度は尼子池改修設計業務を多賀町がパスコ滋賀支店(大津市)に委託し、地質・土質調査、現場透水試験・室内土質試験、横断・縦断測量、設計業務を行った。
 「尼子池」(敏満寺字背戸山地先)は、農業用水の確保を目的に、谷をせき止めて築造され、現在は利水はもとより動植物の生息・生育環境としての貴重な役割を担っている。池の規模は堤長35b、堤高8・6b、満水時水深7・1b、貯水量約1000立方bで築造時期は不明。
 機能維持のための取水施設の改修は過年度に行われているが、施設の耐用能力を超える大雨や大規模な地震が発生した場合、堤防が損傷を受け決壊に至る可能性がある。万が一ため池が決壊した場合、池の下流には短時間で大量の水が押し寄せる危険性が「多賀町ため池ハザードマップ」で指摘されており、防災・減災に向けた耐震化など改修整備計画の作成を決定。また池の近くには後から整備された名神高速道路が通り、下流域には人家が多数あるなども懸念材料となっている。
 20年3月作成の「多賀町ため池ハザードマップ」におけるはん濫シミュレーションでは、尼子池のごく近くの範囲では建物1階の水没やW造家屋の流出の危険性が高い「危険度V」、それ以外の一帯では床下浸水程度の「危険度T」を示している。

提供:滋賀産業新聞