横浜市は下水道事業経営研究会(第10期、座長・滝沢智東京都立大学都市環境学部特任教授)の初会合を5月8日に開き、2025年度で最終年度を迎える「下水道事業中期経営計画」の次期に向けた検討を始めた。並行して、人口減少の進行や埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故などを踏まえた老朽化対策と代替機能の確保などに関する提言をまとめる方針。新しい長期的な投資計画についても26年度にかけて2カ年で検討し、市の下水道事業に生かす。
次期の中期経営計画は26年度から4カ年を計画期間とする。25年度内の計画策定に向けた考え方について、当日の研究会で市が提示した。
それによると、下水道事業を取り巻く環境が「大きく変化する過渡期」にあるという。具体的には、人口減少や物価高騰、行政・民間双方の担い手不足などの社会的要因に加え、下水道施設の老朽化が進む中、八潮市の道路陥没事故を踏まえて、確実に対策と維持管理を進めていく必要があるためだ。
次期計画の策定に当たっては、現行計画の整備基準や方針を踏襲しつつ、持続的な事業運営に向けた方向性を議論する。
また、限られた財源の中で効率的な維持管理や施設更新を進められるよう、新しい長期投資計画の策定についても検討。中期経営計画と並行して研究会で議論してもらう。
冒頭、下水道河川局の遠藤賢也局長は八潮市の道路陥没事故について「想定をはるかに超える規模の事故が発生し、社会経済や地域の生活環境に大きな影響を与えた」と言及。
その上で、「同じ事故を起こさない、万が一起きても市民生活に影響を及ぼさないよう、維持管理や老朽化対策を見極めなければならない」と語り、「下水道サービスを安定して提供するため、今後の方向性や財政運営について改めて審議してほしい」との道筋を示した。
次回会合を7月に開き、次期計画の骨子案について議論する予定。
提供:建通新聞社