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建設経済新聞社
2025/05/16

【京都】公契約大綱の見直しへ素案 労務費、適正工期など反映 脱炭素化の格付評価も

 京都府は15日、公契約大綱の見直し素案を明らかにした。
 素案は、府入札制度等検討委員会(委員長・楠茂樹筑波大学人文社会系教授)に報告した。令和6年6月の「担い手3法改正」を受け、公契約における受発注者関係の更なる適正化等に向けて取組の拡充を行うものについて、大綱に反映させるため見直しを行う。
 見直しの内容は[担い手確保](1)処遇改善・価格転嫁対策(▽適切な価格転嫁対策による労務費へのしわ寄せ防止▽能力に応じた適切な処遇の確保)→反映内容@見積書・入札金額内訳書における適切な労務費の確保A低入札価格調査制度の厳格化の試行(従前は制度の検証、見直し)Bスライド条項に基づく適切な請負代金変更(2)働き方改革・環境整備の推進(▽休日の確保の推進)→反映内容@「工期に関する基準」に基づく適正な工期の確保A週休2日制工事の実施(従前は試行)、[生産性向上](3)新技術の活用等による生産性の向上(▽調査等や発注から維持管理までのICT活用▽脱炭素化の推進)→反映内容@建設キャリアアップシステム(CCUS)等活用による施工体制の確認A建設企業の格付けにおいて評価、[地域における対応力強化](4)適切な入札条件等での発注の推進(▽地域の実情を踏まえた適切な条件・発注規模による発注等)→反映内容@応札可能者数等の見直し、(5)災害対応力の強化(▽災害工事での労災保険契約の締結促進)→反映内容@工事中の第三者損害への保険加入の促進。

入札参加資格制度の改正
等級区分の見直しが必要


 入札制度等検討委で府側は「地域の実情としては、過疎地域を中心に、工事を引き受けてくれる会社が減少傾向にある。会社の中にも若い人がほとんどおられない、そういう状況がある。一方で京都市内のように多くの建設会社がある地域もある。そういう状況で、同じように一般競争入札は30者以上を集めて行うということにこだわると、地域に業者が少なく、30者集めようと思えば、工事発注地域よりさらに遠くのところまで声をかけて、30者を無理に集めるというような状況が今後進んでいく可能性があると考えている。そういう中で防災工事を中心としてやらねばならない工事は当然出てくるので、そういったところは地域の実情を踏まえて、30者を確保するため無理に遠くまで募集するということは、実態に合っていないと考えている。発注規模、技術力の高さなどを見極め、ある程度柔軟に考えていきたい」「大規模な災害が起こると、過疎地域を中心に災害復旧工事の受け手がいないような状況というのも、ここ10年を見ても、そういう時期があった頃も京都府でもある。能登半島地震の災害復旧もなかなか進んでいないという状況もある。過疎地域にある建設業者がなくなってしまう、そういう状況は避けなければ、人々の暮らしは守れない」「標準労務費が確保されているのかどうかというのを元下間の契約書の提示を求めるなどとして確認していきたい」などと説明。委員からは「建設業に若い人たちが就労していく、働きたいと思うような方向に持っていかないといけないという感じはする」などの意見があった。
 このほか、建設工事競争入札参加資格制度と社会情勢の変化(▽平成23年度入札契約制度改正の振り返り▽等級別企業分布の変化)について府が報告。
 等級別企業分布の変化については、技術力・経営力に優れた企業が増加→最上位等級の企業数が想定以上に増加したことに触れ、「上位等級企業が増加していくこと自体は非常に喜ばしいことだが、一方で今の制度は上位等級企業の成長意欲が阻害される要因になっているともいえる。そうしたことから、今後さらなる高みを目指していただくためにも、入札参加資格制度の抜本的な見直しが必要と考えている」と述べ、等級区分の見直し(及び発注標準の点検)が必要との考えを示した。