神奈川県県土整備局は、建築工事への総合評価方式の適用を拡大する方針だ。2024年度は新たに公営住宅の建築工事で総合評価方式を適用、25年度は公営住宅4件の建築工事など計7件に同方式の導入を予定する(4月時点)。これまでは外壁や屋上防水の改修工事で年間3件程度の発注にとどまっていたが、比較的規模の大きい工事も含めて適用範囲を広げていく。
県土整備局の建築工事については07年度ごろから一部工事で総合評価方式を導入。外壁や屋上防水改修工事などから年間3件程度(18〜19年度は0件)を指定し、技術提案などは求めずに配置予定技術者の能力などを評価する特別簡易型を採用してきた。総合評価方式は評価項目の設定や事業者の選定に時間を要すること、土木工事と比べて複雑でない工事が多く同方式がなじまないことなどから、価格競争をメインとしていた。
一方、県土整備局として総合評価方式を拡大する動きがあることなどから、24年度は比較的規模の大きい建築工事にも導入。初めて公営住宅の建築工事に特別簡易型(T)で同方式を適用した。特別簡易型(T)を適用したのは県営二宮団地の新築工事2期(落札金額16億2000万円)と平塚工科高校実習棟の改修・耐震補強工事(同3億5000万円)の2件。二宮団地は敷地の高低差を考慮した計画となること、平塚工科高校は居ながら工事だったことから技術力を評価すべきと判断した。
この他、24年度はスポーツセンター球技場観客席の改修工事と、厚木看護専門学校の外壁改修工事で特別簡易型(U)を適用した。
本年度は新築する公営住宅全4カ所の建築工事1件ずつ、湘南方面特別支援学校を設置するための旧亀井野庁舎の改修工事1件の計5件に特別簡易型(T)を適用する想定。この他、改修工事2件を同方式で発注する見通しだが、タイプは未定としている。
来年度以降も総合評価方式の適用範囲を拡大する方針。公営住宅など比較的規模の大きい工事、それ以外の工事でも同方式を適用するための期間が確保できる工事などを選定していく。住宅営繕事務所の羽太美孝所長は「総合評価方式の割合は増えていく」とし、受発注者双方の負担が大きくなることにも理解を示した上で「業界団体とコミュニケーションを取りながら適切な方法を検討していく」と話す。
提供:建通新聞社