一般社団法人・滋賀県建設業協会(奥田克実会長)は19日、大津市のびわ湖大津プリンスホテルで「令和7年度通常総会」を開催、会員の発展・振興への取り組みと連携強化などから成る今年度事業計画を全会一致で承認・可決した。
挨拶した奥田会長は「我が国の経済は、自立的循環メカニズムが整い緩やかな回復基調を取り戻してきたが、アメリカのトランプ政権等々の影響などで今後の世界情勢は混迷を極めると思われ、地域建設業を取り巻く環境は、公共建設投資の下げ止まりや設計労務単価の引上げ等により、全体としては改善傾向となったが、円安や安全保障環境の悪化等に起因する資機材価格の高止まりや品薄の影響など、建設業界においても深刻な影響が続いているほか、気候変動の影響による豪雨や台風などの災害が全国各地で発生し河川の氾濫等甚大な被害をもたらした。滋賀県においても昨年7月の大雨により米原市で土石流による大規模な土砂災害が繰り返し発生し緊急安全確保が発令されるなど自然災害の脅威を全国民が再実感した」と述べた後「しかしながらこのような状況においても我々建設業界は、社会のインフラ整備や災害時緊急時の対応など地域の安全・安心を守る使命を果たすため、何より健全でサスティナブルな経営を続けていかねばならない。そのためには安定的かつ持続的で、人件費や建設資材費等の上昇分を織り込んだ、適正な価格による業務量の確保が必要不可欠である」と強調した。さらに「このような中昨年7月新たな国土強靭化基本計画が閣議決定され、法律に根拠を規定し国土強靭化実施中期計画を切れ目なく策定することが政府に義務付けられたことから、今後は継続的・安定的な事業規模の確保に期待するところ。また昨年4月施行された改正労働関係法令に対応し、多様な働き方の整備を加速すると共に、現場でのICTやAI活用により人とシステムが上手く役割分担し、効率的に生産性を極大化する事で若者や女性が一層活躍できる建設業界に環境を整えていくことが、地域の守り手としての責務を全うし得る唯一の選択肢であると認識している。今年度も適正な入札契約制度に向けた要望や提案活動をはじめ会員企業の経営安定化のため適正な利潤の確保や安定的な事業費の確保に向け、精一杯取り組む所存です」と力強く呼び掛けた。
続いて、来賓の伊吹信人滋賀県土木交通部長(県知事代理)が「昨年7月の米原市土砂災害では迅速にご対応頂き、地域の守り手として貴協会の力が不可欠と実感した。、国土強靭化を推進する本県の建設産業の発展のためなお一層のお力を発揮されたい」、4月25日に滋賀県議会第105代議長に就任した目片信悟県議会議長が「国土強靭化中期計画の早期推進や必要とされる社会資本整備に全力を尽くしたい」とあいさつし、国土交通省近畿地方整備局の長谷川朋弘局長が「日頃からの災害対応等地域の守り手としてのご尽力に心より感謝申し上げると共に、建設業が持続的にその役割を果たして頂けるよう担い手確保育成が重要。国土強靭化中期計画に基づく安定的な公共事業量を確保した上での各種施策にご協力を」と呼び掛けた。このほか厚生労働省滋賀労働局長や県選出の国会議員からも建設界への期待を込めた祝辞が贈られた。
その後、議事へと移り、今年度事業計画が報告され、▽災害対策事業▽労働災害防止事業の推進▽建設雇用改善事業の推進▽講習会事業▽社会貢献事業の推進―などを実施していくことを確認し、全会一致で可決・承認した。
提供:滋賀産業新聞